第40話

「ルナは斥候、にゃびは……なんだこれ?」

「えっと……ロイドの従魔、斥候。ロイドの従魔、魔術師? そんな職業があるの?」

「おいにゃもこんなの知らないにゃあ」


 もしかして、冒険者に登録したことで変わったのか?

 ルナの方は、職業を選択する前にあった斥候が候補に入っている。

 にゃびは斥候と魔術師。だけど「ロイドの従魔」は固定のままなんだな。


「にゃび、二つもあるなんてずるい」

「ふにゃっはっは」

「ん? 転職するのには条件があるみたいだ」


 にゃびの転職候補に触れると、【スキルポイントを1消費します。よろしいですか?】という文字が浮かんだ。

 転職にスキルポイントが必要なのか。貴重なポイントなんだがなぁ。


「スキルポイントを消費して転職なんて……」

「にゃ~。でも1ポイントだけにゃよ。転職してレベル2以上あげれば元は取れるにゃ」

「確かに……そうね」

「どうする? 転職するかい?」


 二人は悩んだ末、ルナはインパクトアローをレベル10にしてレベル上限に達成。残りポイント1を消費して斥候に転職した。

 にゃびは転職用に1ポイント消費させただけで、スキルはそのままだ。




【名 前】ロイド

【年 齢】16歳

【種 族】人間

【職 業】見習い魔術師 レベル39 +


【筋 力】392+124

【体 力】392+124

【敏捷力】392+124

【集中力】392+124

【魔 力】392+124

【 運 】392+124


【ユニークスキル】

 平均化


【習得スキル】

『プチバッシュ レベル15上限』『プチ忍び足 レベル10』『プチ鷹の目 レベル1』

『プチ・ヒール レベル10』『プチ・ファイア レベル10』『魔法操作・味方認識 レベル1上限』


【獲得可能スキル一覧】+


【獲得スキル】

●強化系スキル

『筋力プチ強化 レベル10』『魔力プチ強化 レベル12』

『体力プチ強化 レベル10』『敏捷力プチ強化 レベル10』

『集中力プチ強化 レベル10』 『運プチ強化 レベル10』


●アクティブスキル

『バーストブレイク レベル10』『プチ・スラッシュ レベル10』

『プチ隠密 レベル10』『プチ・ブレッシング レベル10』

『プチ・アイス レベル1』『プチ・サンダー レベル5』

『プチ・ロック レベル10』『プチ・カッター レベル10』

『プチ・ファイアストーム レベル10上限』

『プチ・ロックウォーツ レベル10上限』


●パッシブスキル

『見習い職業時の獲得経験値増加 レベル10上限』

『魔法操作 レベル5』『スキルポイントアップ レベル1上限』



【ステータスポイント】0

【スキルポイント】68


*******●パーティーメンバー*******


【名 前】ルナリア

【年 齢】16歳

【種 族】兎人

【職 業】斥候 レベル1 +



【筋 力】40

【体 力】55

【敏捷力】470

【集中力】495+50

【魔 力】26

【 運 】13


【習得スキル】


【獲得可能スキル一覧】+


【獲得スキル】

『射速 レベル5』『標的認識 レベル5』『ツインアロー レベル10上限』

『集中力強化 レベル10』『インパクトアロー レベル10上限』


【ステータスポイント】0

【スキルポイント】0


------------------------------


【名 前】にゃび

【年 齢】35歳

【種 族】ネコマタ

【職 業】ロイドの従魔・斥候レベル1 +


【筋 力】159

【体 力】82

【敏捷力】541

【集中力】50

【魔 力】479

【 運 】443


【習得スキル】

『月光の爪 レベル15上限』『夜目 レベル10上限』『忍び足 レベル10上限』

『弱点看破 レベル1上限』『爆連 レベル4』


【獲得可能スキル一覧】+


【獲得スキル】

『風のマント レベル10上限』『紅い月 レベル10上限』『鋭利な爪 レベル5』

『影 レベル10上限』『肉球もみもみ レベル3』


【ステータスポイント】5

【スキルポイント】4




 俺のスキルが増えすぎたせいか、獲得スキル欄に整理機能が追加されていた。

 これで見やすくなる。

 職業はこのままで。

 転職可能一覧に、『見習い精霊使い』と『見習い召喚士』『見習い魔導師』が薄灰色の文字で出ているからだ。

 これもコポトから贈られた知識を、ステータスボードが解析して具体的な転職条件を表記したのだろう。

 その条件が、見習い魔術師のレベルが50に達すること──だった。


 たぶん他の職業でも同じ条件て、上位職に転職出来るはずだ。


「せっかく転職しても、暫くは街道を歩くしモンスターとの遭遇も滅多にないんだけどね」

「そうね。でも転職して困る訳でもないし」


 それもそうか。

 見習い戦士に転職しても、魔法スキルはいつも通り使える。

 ルナも斥候になっても弓を扱えるだろう。

 斥候で弓を使っている人も、たまにだけどいるしね。


「それじゃ、ルナのお尻の具合も大丈夫そうなら、明日の朝出発でいいかな?」


 隣のベッドに視線を向けると、親指を立ててオッケーサインをするにゃびと、何故か顔を真っ赤にしたルナが──そっぽを向いた。


 ん?

 俺、なんかマズいことでも言ったかな?






 翌朝は早い時間から宿を出た。

 こんな時間でも町の露店通りは賑わっていて、昼に食べるものや水、遅くなった時のことも考えて夕食まで買い込む。


「空間収納袋だと、中で食べ物が腐らないってのが助かるね」

「美味しいお肉がずっと美味しいにゃんて、天国にゃ」


 食材だろうと調理済みの料理だろうと、袋に入れておけば腐らない。温かい状態で入れれば、それすら保たれているんだ。

 マジックアイテムって凄いな。


「ルナは何食べる? 好きなもの選んでよ」

「べ、別に……なんでもいいもん」

「なんでも? でも好き嫌いとかあるだろ? それにこんなに沢山店があるんだ。なんだって好きなもの選べるんだぞ?」


 彼女の顔を覗き込むと、一瞬目線が合って、それからプイっとそっぽを向かれた。

 顔が少し赤い気がする。昨晩のあの時のように。


 もしかして……


「ルナ、ちょっとごめん」


 二日間も馬車の中で、ずっと同じ姿勢。お尻が痛いだけじゃなく、体調が悪くなっていたって不思議じゃない。

 なんで俺はそんなことにも気づけなかったんだ。

 ごめん、ルナ。ごめん。


「熱は……」


 彼女のおデコに手を当ててみるけど、特に熱いとは感じないな。

 俺の手が温もってる?

 念のためおデコ同士をくっつける。


「うん、熱はないようだけど。具合が悪かったりしないか?」


 彼女を放してからもう一度顔を覗き込む。

 さっきより赤い!?


「な、なな、な、なん、なんでもないからっ。あ、あれ。私あれにするっ」


 何故か慌てた様子でルナは、超肉モリモリサンドと看板に描かれた露店へと駆けだした。

 そんなに肉、食べたかったのか。


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