第96話 閉校の年

 何回か触れましたが、今現在企業内高校のシステムは廃れています。日本中探せばあるかもですが、おそらく無くなっています。

 不景気のせいです。

 ………

 いや、『みんな社会が悪いのさ』みたいに言うな、ですが、実際にそうなんです。

 不景気で当たり前に高卒が採用できるようになり、リスクを伴う中卒採用をしなくなっていきました。

 リスクとは…

 企業的な意味です。思春期バリバリだから、精神的に安定しにくく退職率も高いので。

 とは言え、企業内高校とは言え高校ですから、

 『卒業していく部活の先輩に後輩がお金を出し合い記念品を買う』みたいな、多くの学校にある伝統もありました。

 最終学年、かわいそうですよ。

 延々後輩は来ません。

 職場的に来る後輩は、みんな高卒だから常に年上。

 1番下っ端のまま3年間です。

 教える側としては、だんだん使わなくなる教室に、少なくなる声に物悲しさがありましたが、彼女らのやるせなさのほうが上だろうなと思います。

 本科寮だってガラガラになっていくし…

 最終学年、甲番2人、乙番3人(外部通学生2人)だったような。

 寮の方は、専科寮の1室を使った気がします、記憶は怪しいですが。

 どんどん空いていくスペースと、自分自身もその年で退職予定だったこともあり、漠然とした寂しさが残っています。

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