第51話 年に1度の一大イベント
女子寮では年に1回、4月に部屋替えがあります。
学校で1学期に1度席替えをした、その女子寮番です。
席替えもその後数か月の運命を決めるので真剣勝負ですが、寮の場合その後1年間の公私の『私』の部分、全てに関わるのでマジ深刻です。
勿論、くじ引きなんかじゃありません。
うまくいっている部屋は基本いじらず、問題のある部屋は入れ換えを行う。そこに4月に入社した新入生を入れ込みます。
つもり新入社員研修中に決めるわけで、実質10日やそこら、それも猫を2重3重にかぶった状態を見て相性を判断するわけですから、かなり賭けに近いです。
教務がたたき台を作り、寮内選挙で選ばれた自治会役員(と言っても教務で頼み込んで立候補してもらって、ほぼ信任投票ですが)と各寮長出席のもと、最終的な決定をします。
人間同士の合う合わないなんて、本音を言えばわかる訳無いって。
ただ、研修終了までに部屋を決めなければならない、時間に縛られて決めるわけで、毎年失敗は出てしまいます。
ああ、思ったより合わなかった、みたいな。
神様のパズル、やらされる方がきついって!
もう少し何とかやり方はなかったか、難しいお仕事でした。
研修終了日の翌日は日曜日です。
新入社員の研修寮からのお引越しは、専科生は事務的かつ自力ででしたが、本科生は面白かった。
それが伝統なのでしょうが、受け入れる側の先輩が一気に部屋になだれ込んで、人海戦術で強制お引越しです。大きな荷物もガンガン担いでくれて頼もしいです。
春のよく晴れた空の下、桜舞い散る中さわやかに進むお引越しは女子寮名物、季節を感じる行事でした。
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