ヒマを持てあます令嬢の人生ゲーム
蕪 リタ
1 今日も楽しい人生ゲーム
「死ぬ! 死ぬって⁉ 死んじゃうから‼」
「殺そうとしてるんですもの。死ぬでしょう?」
泣き叫ぶ声が響きわたるのは、この国
柱にぶらさがるように
「ふつう! 階段落ちって足ひねるくらいで終わりじゃない⁉ 死なないのがふつうでしょ⁉」
「死なない? 何を
「あぁああんた、おかしいわよ⁉」
「可笑しくはないでしょう?」
手と手を握りあい、泣き叫ぶピンクブロンドの少女の足は、今にも走り出しそうな体勢で耐えている。そう、プルプルと。小刻みに震えながら耐えているのだ。
口から発する言葉が少々汚い彼女も、不敵に笑う紅髪の少女も貴族なので、カップやソーサーより重たいものを持ったことがない。この学舎は従者たちも付きそえるため、
そんな彼女たちは手と手を握りあい、国立学院最上階の踊り場で押し合っているのだ。体重をかけて。か弱い少女たちでも、自身の体重さえかければ人ひとり転ばせることができる――そう授業の一環である『体術』の時間に学んだばかりで、早速実践していたのだ。国立学院最上階の踊り場で。
紅髪の少女は高位貴族で、幼少期からしぐさや姿勢を優雅にみせるよう努力させられた。結果、同じように体重をかけているが、ただ美しい姿勢のまま
もう一度言う。
この国リウビアは『雨の国』と呼ばれるほど雨が多い。毎日が雨なんて普通。雨の多いこの国だからこそ、水のカーテンのおかげで外の音が遮断され、建物内はよく響くのだ。そう、よく響く。
彼女たちの周りには、響いた声につられていつの間にか人だかりができていたのだ。
よくある光景なのか、何かを期待するキラキラした目を彼女たちに向けながら。
なぜ、こんな状態で言い争いをしているのかというと。
事の
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