004 組分け

 外に出た者は鉄と銅、そして、テントの中にはなかった銀、三色のメダルごとに集まるように言われる。


 にーしーろのやのーとーにーし……。一番に出て、暇をもてあました俺は出てくる人々を数えていた。

 銅メダル組が一番多く、約35名。8名が銀メダルを首からかけて、これまた別の場所へと案内されていった。

 俺含む残りの24名が鉄メダル。銅メダル組から5名、体格の良い男が鉄のメダルに切り替えて、こちらに加わった。

 他には少なくとも、4名がメダルなしで外に出てきてどこか別の場所へ案内されていった。


 鉄メダル組の説明担当は先程のモヒカンだった。

 「ようこそ、サンダルルカン共和国首都グラースへ。お前らはこれから簡単な訓練と試験を受けてもらう。安心しろ、共和国市民の援助で成り立つ訓練施設だから、食事も住居も貸与される。立派に訓練を終えたら、貸与分の返済はしなくて良い上に装備と支度金まで与えられる」

 「では、宿舎まで駆け足っ!ついてこいっ!」

 モヒカン、頭が世紀末のくせして、なんで軍隊みたいなんだよっ!


 俺たちがいる場所は、高い塀に囲まれた施設みたいだった。塀の中にいくつかの建物がある。


 モヒカンに先導された俺たちは大きめの小屋の前にたどり着く。

 土が塗り込まれた壁はところどころ穴があいていて、きれいな仕上がりとは言えない。左官の職人さんがいたら激怒しそう。というか土を塗るというよりも適当に被せていっただけのような乱雑な作りだ。壁に触れてみると、少しひんやりとした。

 この小屋の中で少し急速でも取らせてもらえるのかと思ったが、この小屋には入らせてくれないらしい。

 小屋の中から人が現れた。両手で大量の上着のようなものを抱えている。

 

 「全員整列して、訓練用の鎧を受け取れ。受け取ったら、すぐに着用!」

 「訓練用の鎧」というのは、先程小屋の中から出てきた人が抱えていたものだった。受け取ってみると分厚い布で作られたごわごわした上着だ。「鎧」というだけあってか結構重い。前合わせの部分は紐で結ぶようになっている。厚手の羽織か着物みたいな感じ。

 袖を通すと多少肩が上がりにくいが、そこまで動きを制限すると言うほどでもない。

 

 全員が「鎧」を着用するのを待ってから、モヒカンは叫ぶ。

 「すぐに向こうの建物の前に集合。そのあと、実力考査を兼ねて模擬戦をおこなうっ!」


 うわ、なに。部内戦みたいな感じ?

 そんなことを考えながら、「走れっ!」というモヒカンの声に背中を押されて俺たちは再び駆けていくのだった。


 あ、でも、その前に、

 「共和国万歳、教官殿、自分頑張りますっ!」

 俺はそう叫ぶとモヒカンの手にすがって、念じた。

静電気スタティック・エレクトリシティ

 バチッ!

 お、火花見えたよ。

 モヒカン、うわっっちゃとか変な声上げてたわ。

 変な声上げるんならヒデブとかタワバとか王道でいってくれたら良いのに。

 機密情報だからというフードの男の言う通り、現場のモヒカンは知らされていないみたいで、完全犯罪成立。

 手荒い起こし方のお礼はきっちりさせていただきました。

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