第3話 ティアラの手紙3


『素敵なリボンをありがとう。毎日身に着けているよ。綺麗なリボンだから、よく声を掛けられるんだ。その都度んだけど、ティアラの見立てがよかったんだろうね。淡い水色が素敵だってよく言われるよ。』


『長期休暇は勉強が忙しくて今年も帰れそうにないんだ。ごめんね。覚えることが多くてさ。代わりにプレゼントを贈るよ。陽射しが強くなる季節だろう?外に行く時にかぶってくれたらと思う』


『そちらに帰るのはもう少し時間がかかるかもしれない。でも、必ず帰るから。だから…』



『待っててほしい』





 小包と一緒に届いた手紙にはそう書かれていた。小包の中身はお花が沢山添えられた可愛らしい帽子だった。


「わぁ…、可愛い」


 帽子を被り、鏡の前でくるんっと一回転。


 帽子のつばを両手で掴み鏡の前でふふふと微笑んでしまった。


「リボン、喜んでもらえた……。嬉しいな」


 今年もこちらには帰れないようだったけれど、お勉強の邪魔はできないし…。寂しいけれど仕方がない。がまん、がまん…。


「ソフィアにも教えてあげようっと。とっても喜んでもらえたって言わなくちゃっ」


 レターセットを取り出し、さっそく机に向かう。帽子は………そのまま。被ったままだ。だって、とてもとても嬉しかったんだもの。


 胸がほかほかと温かくなる。


 窓からは柔らかな風が入りカーテンを揺らしていた。そろそろ太陽がカンカンに照らす季節に移り変わる時期だった。


『ソフィア、この前一緒に選んだリボン、とても喜んでもらえたよ。一緒に考えてくれてありがとう。カイル様から帽子を頂いたの。次遊びに行く時に持っていくね。お花が沢山ついていてとっても可愛いの――――――』




 私は真相を知らないまま、カイル様の優しい言葉だけを信じてふわふわな気持ちで喜んでいた。本当のことを教えてもらえたのはそれからずーーーっと先。



 カイル様はたまに嘘をつく。「知らなくてもいいことだったから」と言って。


 私を守るために、たまに嘘をつくのだ………。



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