真実

三人は、あっという間に逮捕された。


逮捕された三人は、10年前の事件を話した。


動機は、あの日話した内容だったけれど…。


殺害を決意したのは、メッセージだったと言う。


grim reaperという、サイトを春一は立ち上げていた。


文句を書いたり、殺したい人の名前を書いたり、自殺したい理由を書いたり、ただ、吐き出すだけのサイトだった。


そのサイトに、事件の一週間前に優季からの投稿がやってきたと言う。


【僕達を殺してくれないか?】


最初は、冗談だと思ったと春一は話した。


何か事件になって、警察に探されるのも面倒だった春一は、本当にその気があるならこちらに連絡をしてくれとメッセージを送った。


そのアドレス宛に、優季から再びメッセージがやってきた。


【僕達を殺してくれないか?】


何故かと聞いた質問に、優季はこう答えたと言う。


【彼女の事をいつか殺してしまう自分が恐ろしいのです。いつか、殺してしまうなら今、自分を殺して欲しいのです。】


春一は、それは出来ないと伝えると優季は、【当てがあるから構わない。】と答えたと言う。


優季は、真希のスマホからメッセージを送っていた。


その日の夜、優季は真希に【自分を殺してくれないか?】と頼んだと言う。


真希は、【そんな冗談言ってどうする?】と優季に言った。


優季は、【冗談なんか一度も言っていない】と告げたと言う。


その目が、あまりにもおそろしくてやると言うしか出来なかったと言う。


優季が、告げた殺人計画書は、次の通りだった。


桜の木の前に待っている三人を車で跳ねる。【のちに、この車は葵のものだと判明する。】


その後、怨恨の恨みにみせて複数回刺してくれと言われる。


全ては、こちらで用意すると言われたと言う。


刃物からは、優季と咲哉の指紋しか出なかった。


車の中も、葵のものしか出なかった。


【逮捕されるのは、ごめんだ】と言った真希に優季は、【逮捕されない】と答えたと言う。


【絶対ではない】と言った真希に優季は【その時の為に…】とボイスレコーダーを渡したと言う。


真希達は、事件を起こすつもりはなく、当日三人の元に向かったと言う。


すると、優季から【車を取りに行け】と言われたと言う。


【しない】と言うと、延々と怨み節を言われ続けたと言う。


最後には、【自分じゃ出来ないから】と頭を下げられたと話した。


泣きながら、何度も頭を下げる三人を見ていると哀れになってきたと言う。


もともと、人に対しての制圧したい願望が強かった三人は、三人の望みを叶えてあげる事にしたと言う。


三人は、事切れる瞬間に【ありがとう】と笑ったと言う。


その死は、とても穏やかだったと話した。


泣き叫ぶ事もなく、ただただ、ジッと耐えていたと言う。


後日、家の中から三人の手紙を見つけた真希は、これでよかった事を納得したという。


そこには、三人が、今までどれだけ苦しんでいたかが、書かれていたと言う。


自殺を考えたのは、一年前も前からだったと書かれていたと言う。


事件は、嘱託殺人罪【同意殺人】という形で幕を閉じる事になった。


勿論、三人が香乂さんにやった事は、裁かれる事になる。


そして、三人は、香乂さんの事件についてこう話した。


真希は、こう話した。


【どうせ、この性癖に抗えないのならば、欲しいものを手に入れてしまおうと思った】と話した。


トミー事、慎吾さんもまた。


【香乂が、欲しいと思った自分の気持ちに素直になる事を誓った。だって、この性癖からは、けして逃れられないのだから…】と話した。


そして、春一さんもまた。


【どうしても、あの美しい人をこの手におさめたいと思ってしまった。その欲求を満たす事が出来たら死んだっていいとさえ思えた】と話した。


香乂さんの心の傷だけを残して、この事件は終わった。




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