67-2
「みんなご飯だよー」
カメリアと外にでて声を張り上げると皆が寄ってきた
勿論ロキもコルザを連れて出てきてくれた
「今日の飯は外か?」
「そうよ。これ、敷いて」
麻のシートを縫い合わせた巨大な敷物をダビアに渡すとマロニエとシュロ、ジョンも手伝って地面に広げてくれた
「でかいな」
「だって人数多いもの。さぁ、みんな好きに座ってね」
私が靴を脱いでシートに上がると皆が真似をして思い思いに座った
適当な間隔をあけながらカメリアと作った料理を並べていく
カメリアと子供たちは皆の飲み物を準備して配ってくれた
「いただきまーす」
「まーす」
子供達が我先にと食べ始めるのをしばらく眺めてから大人達も食べ始めた
「なんかこういうのいいなぁ…」
突然呟いたのはジョンの知人であるハリーだった
「ハリー突然どうした?」
「いや、俺は嫁さんに先立たれて子供も独立したからな、たまに孫と帰ってくるがこんな賑やかな食事は随分久しぶりだ」
「あぁ、そうだったな」
ジョンが頷いた
「ここんとこ仕事が忙しいのは有り難いがな、疲れて帰って一人だと実感するのは結構堪えるんだ」
「ハリーの仕事って?」
「大工だ」
おっと、私の欲していた人材だわ
「オリビエ…」
ロキが私の考えていることを読んだのか呆れたように項垂れた
「ハリーもここに住む?」
「は?」
ハリーは呆けた顔をした
「家賃6万シア、食事付きなら8万シアでどう?」
「いや、有り難いがそれは安すぎるだろ」
「ならこの屋敷で木工関連の作業が必要なときに引き受けてくれると嬉しいんだけど」
「それくらいお安い御用だが…」
ハリーはどうしたものかと困惑気味にジョンを見た
「俺はいいと思うぞ。お前さんの孫が来ても、ここにはカメリアの子供達がいるし退屈せんだろう」
「それにオリビエは前から木工職人を欲しがってたしね」
「カメリアそれは言っちゃダメなやつ」
私がそう言いながら項垂れると皆が笑い出す
「オリビエは色んな職人さんここに集めたいんだよね?」
ウーが追い打ちをかけて来た
「何でまたそんなことを?」
「色んな仕事をしてる人と話をするのは楽しいでしょう?知らない世界の事を知って自分の中で新しい発想が生まれることは少なくないし」
「それは分かるな。俺もミュゲのおかげで、これまでしたくてできなかったことも出来るようになったからな」
ジョンが嬉しそうに言う
ミュゲが陶器でこれまで岩を削る事では限界だった形状のものを作ってくれるから楽しくて仕方ないらしい
「確かにそれは魅力的だな…」
ハリーは何やら考え込んだ
「道具なんかの置き場が足りなければそこの小屋に放りこんどけばいいぞ。俺らの道具もそこに入ってるからな」
「…本当に頼んでもいいんだろうか?」
ハリーは伺う様にこっちを見て来た
「こいつはこういうやつだから遠慮は不要だ」
「そうね。楽しい生活は保証するわ。ちょっと子供たちが多いからにぎやかだけど」
「ネコもいるしな」
ナハマは膝の上で丸くなっているハオをなでながら言う
「じゃぁお言葉に甘えさせてもらうよ。食事付きで」
「歓迎します」
「やった!ハリーに作ってもらいたいモノあるんだよね」
ウーが言う
昔馴染みならではの強さだろうか?
少し話を詰めて、ハリーが引っ越してくるのはハリーの次の休みの光の日になった
通常は光の日が休みだけど、今日は前の作業が押していてハリーが手を付けることが出来ないから休みになったのだとか
現場ではそういうことが結構起こるらしい
その後も賑やかな食事は続き、気づいてみたら子供たちはその場でゴロゴロしてるうちに眠ってしまった
こうやってゆったりした時間の中で過ごすなんて、元の世界では考えられなかったことだ
気心の知れた人たちに囲まれて過ごす日々に、召喚に巻き込まれて逆に良かったのかもしれないなんて思っていた
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