27-4
「こういう時インベントリは便利だよね」
量も重さも関係ないのは助かる
とはいうもののインベントリ持ちは希少なため、私もロキもマジックバッグを偽装で身に着けている
前にマジックバッグも高価だけどと言うと、Aランクなら問題ないだろと返された
実際ダビアもマロニエも持っているからそういうものなのだろう
「次は野菜か?」
「その前に屋台覗いていい?」
「屋台?もう腹減ったのか?」
朝食を食べてすぐ出てきたはずだろうと呆れた顔をされる
「違うよ。スイーツのお店が出てないか見とこうと思って。あとはどんな店が流行ってるのかもね」
「リサーチか?それならすんでるぞ」
「え?」
首を傾げると書類の束を渡された
「これは?」
「見りゃわかる」
「ん…」
頷きながら書類に目を通す
屋台に出展されている店の名前、責任者の名前、売ってるもの、出してる頻度、売上などが一覧になっていた
「いつの間に?」
「…王宮の伝手を使えばすぐ入る。お前がギルドに登録してる間にギルドマスターに依頼してこの町に関するものは大体揃えてもらった」
「流石、元、王の側近…」
パラパラと書類をめくりながらスイーツのページで目を止める
「スイーツは1日1店舗しか出してないってカメリアが言ってたけど…日替わりでやってるのかな?」
「ん?」
ロキが書類をのぞき込む
「1つの屋台を共同で使ってるんじゃないか?屋台は大抵日毎に出店費用が徴収されるから」
「競合するより協力した方が…ってこと?」
「多分な。ここの屋台で用意できるスイーツは限られるだろうし」
「どういうこと?」
「ここはその場で作ったものしか売れない契約になってるから、種類もそんなに用意できないんじゃないか?残ったものはたたき売るか、破棄するか、自分で食べるかだろうし」
「そうなんだ…」
それは結構厳しい条件のような気がする
家で準備してきたモノを使うことが出来ないとなると時間的にも制限がかかるだろうし
「…じゃぁ交渉の余地ありかな?」
「交渉?」
「カフェにも置かないかって」
「どういう意味だ?」
ロキは話が見えないと首を傾げる
「半分は私の好奇心。私の場合、人のを見て新しいアイデアが出ることの方が多いんだよね。自分の中のストックなんて知れてるから」
「まぁ無限には出てこないだろうな」
「でしょう?だからそのスイーツ出してる人が、屋台のない日に作った分とか余った分を店に置かないかなって」
そうすれば叩き売ったり破棄したりする量も減らせるだろうし…
「お前本当に色々考えるよな?」
「ふふ…これはカメリアの為でもあるんだけどね」
「何でそれがカメリアに関係すんだよ?」
「多分、カメリアも色々アイデア持ってると思うの。でも報酬増やすのは未だに嫌がるし…」
「まぁ…そうだろうな」
定休日の件ですら子供たちの勢いで押されてしぶしぶだっただけに、この状態で報酬を増やすなど絶対に受け入れるはずがないのだ
「カフェの手伝いの方もね、子供たちのおやつをカフェの材料や機材を使って作ってるからって受け取ってくれないし」
「あぁ、よくその話してるな」
「うん。だからね、カメリアにもスイーツ作ってもらおうかなって。材料や機材はカフェにあるのを使うってことを考慮してカメリアには30%を考えてるの。でも前例がなければ絶対断られるでしょう?」
「まぁ…カメリアならそうなるだろうな。ああ見えて頑固だし」
ロキは納得する
でも前例があれば押せると思うんだよね
それが実現するのはまだ先の話かもしれないけど…
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