隣の席に座るS級美少女から突如貰った一枚の手紙の件
すいか
プロローグ
ここ私立桜見高等学校には、類稀なる容姿を持った四人の女子生徒のことを“桜見四大美少女”と呼んで、崇め
三年生に二名、二年生に一名、一年生に一名の各学年四人。
これは三人のある男子生徒がおふざけ半分で男子生徒全員を対象に三ヶ月間行った「最も容姿の整った女子は誰ですか?」というアンケートにて、最も名前が上がって、最も票数を稼いだ女子生徒を公表したことによる結果なのだが、気付けば学校全体──いや、市内の中学校・高校にまで話が広まっているという。
そんな「美少女」と名高い四人のうちの一人が、一年一組の椅子に座る――
「ここはこうで、こうあるからして~」
――とある日の授業。
コの字を描いた席順の黒板から見て右側、窓際の席にいる
たまには赤ペン、持ち替えては蛍光ペン、自分なりにわかりやすくノートを作っていく。
テスト期間になれば、教科書には載っていないところのメモとして重宝されるため、授業の“ノートとり”はとても重要だ。
そして授業態度にとっても、良い評価されることにも繋がるため一石二鳥である、という口実として、授業に取り組んでいた。
とはいえ、授業が始まって少々経った今、拓海自信の集中力はそうは続かない……。
何故かといえば、隣の席にいる女子生徒――
――じー。
授業が始まってからずーっと顔を見つめられているからだ。
しかも、机に肘ついて手のひらに顔をのせた体勢で。
少し気になってチラッと振り向いてみる。
「んふふ♪やっと目が合った!」
なんて言いながら、ほのかに頬を紅く染めて照れたような笑顔をこちらに見せてくれた。
その反応に拓海も頬を紅くし、すぐさま目線をそらしてしまう。
容姿がとても整った子が見せる笑顔のひばく率は必中レベルのため、かなり恥ずかしっっっっっ。
それから授業時間も中盤に差し掛かり、チラチラと目線をこちらに送ってきたりしてくる中、なにか思い立ったのか、ノートをペラペラと捲りだして何も書かれていないノートの角を切ってなにか書き始める。
そんな彼女を横目で見ながら、黒板に書かれている重要なポイントや大事だと思うところを抜き出して、着々とノートを完成させていく。
そんな時にスッと渡してきた二つ折りにされたノートの
必然的に「なんだこれ?」と碧依の横顔を見てしまうが、そんな彼女は平然とした様子で黒板を見つめていた。
席の場所的に先生からは見やすい位置にいるので、机の端に置かれた謎の切端を片手にノートを書いているフリしながらそーっと開いて中身を確認する。
そこには数文字の可愛らしい字が並べられていた。
――拓海君って気になる女の子いたりする?
少々驚いて、とっさに彼女のことを見る。
そんな彼女の横顔は、茹でタコ以上に真っ赤にしてペンを片手に持ったまま、黒板だけを見つめていた。
そして授業の終わりの音が、ようやく訪れたのだった。
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