第19話 第二回作戦開始!

 新月で月明かりすらない闇に中で、デスブリンガーは行動を開始した。

 以前の様に城下街の門から街に入ると、闇を消し去るかの如く、かなり多くの松明の灯りが周囲を照らしていた。

 デスブリンガーは以前の様に召喚魔法を使うと…デュラハンを筆頭に、作戦会議で話した通りの魔物を召喚した。

 そしてデュラハンが号令を掛けると、冒険者達との戦いが始まったのだった。

 俺は浮遊魔法で浮かびながら移動して、戦いの様子を見ていた。


 「ヴェルナルドの奴…張り切っているなぁ! 呼んだのは久々だからか?」


 デュラハンのヴェルナルド、ノーライフキングのシェルザード、ダークプリーストのマイヤネートは5回目の異世界召喚で仲間の契約をした。

 戦いに勝利した俺は、奴等3人に服従か死を選択させた時に追加で…

 

 「服従を誓うのなら、名を与え…自由に好きな様に戦わせてやる…」


 …と言ったら、喜んで付いてきた。

 魔王との決戦の時も奴等を呼んで戦わせたのだが、その時の魔王の表情がとても愉快で笑えた。

 自分の配下が裏切って向かって来たら…魔王も唖然とするだろう。


 「ただ…ヴェルナルドの奴は、たまに命令を無視するからなぁ? まぁ、殺すなという命令は守るだろうが…「生きていれば良いんですよね?」と言われた時は、何処までやるのかが不安だ。」


 不安しかないが…とりあえずヴェルナルドに此処を任せよう。

 まぁ、アダンの言う通り…Sランク冒険者というのも、見事に立ち振る舞っているしな。

 俺は城門前に到着すると、兵士が前回の様に待ち構えていた。

 俺は、スケルトンウォーリアを100体召喚した後に…スケルトンナイトを2体とダークプリーストのマイヤネートを呼び出した。

 スケルトンウォーリア達は兵士に向かって行き…スケルトンナイトはバードとウォチングの元に向かって行った。

 そして俺は、マイヤネートに此処を任せる様に伝えた。


 『まぁ、適当にやってくれ…』

 『畏まりましたわ、盟主様…人間達の絶望感と虚無感の表情を見れるかと思うと…体の火照りとゾクゾクがたまりませんわ!』


 それを聞いて俺は…「本当にコイツに任せて平気なのだろうか?」と不安になって来た。

 マイヤネートは破壊されたスケルトンウォーリアを瞬時に復活させながら…荒い呼吸をしていた。

 別に苦しんでいる訳ではない…悦に浸っているという表情をしていたのだった。

 「良いわ! 良いわ! もっとその絶望的な表情を頂戴! あぁ…ハァハァ…あぁん♡」と喘いでいた。

 人選ミスっただろうか?

 これならまだ…ノーライフキングのシェルザードの方がマシな気がする。

 

 『とにかく…任せたぞマイヤネート!』

 『はぁい! 任されましたわ盟主さまぁ~ん♡』


 俺は不安を感じつつも、城の中庭に入った。

 すると大勢の騎士達が殺気を放って待ち構えていた。

 前回のドラゴントゥースウォーリア戦では、騎士達の殆どが重症だった。

 俺は反省会の後に騎士達を回復魔法で癒してやった。

 治ったと同時に訓練に励むという無茶をしだしたのだが…。

 俺はドラゴントゥースウォーリアを25体召喚すると、騎士達に向かわせた。

 そして騎士達が戦いを始めると、その間を抜けて先に行くと…グランとリオンとミクが待ち構えていた。


 『貴様達にはコイツを用意しよう…』


 そう言って俺は…姿を映し出す鏡を3人の前に出現させた。

 3人の姿が鏡に映ると、鏡から3人の姿が全く同じのミラーファントムが現れた。

 グランとリオンは、あらかじめ内容を知っていたので大して驚いてはいなかったが…ミクは驚愕した表情を浮かべていた。

 そして俺は、ミラーファントム達に命令すると…ミラーファントム達はそれぞれの者達に向かって行った。


 「それにしても…ここまで来るまでに、マサギの姿が何処にも見当たらなかったが…何処にいるんだ?」


 俺は騎士達を見ると、劣勢の様な感じだが…見事に立ち振る舞っていた。

 流石に同じ敵相手に遅れを取るわけには行かないのだろう。

 グランとリオンも危なげながら戦っていたが…ミクの場合だけ、ミラーファントムの方が押されていた。

 どうやら…ユウトとマミのバフが思った以上に威力が高くて、優勢になったのだろう。

 だが、それだと…ミクが何も学べないと思って、イレギュラーだが…ユウトとマミの前にも鏡を出現させて、ミラーファントムを出現させたのだった。


 「これは自分か?」

 「これって…私?」


 2人は戸惑った表情をしていた。

 すると、ミクに掛かっているバフが解けて均衡が元に戻った。

 そしてユウトとマミも参戦し始めたのだった。

 それにしても本当に…マサギは何処にいるんだ?


 そして城の入り口にサクヤ《自分》の姿を見付けて、戦いを始めたのだった。

 今度はサクヤをオートモードにした。

 これで俺が勝利をするというシナリオが完成し、サクヤが死ぬというシナリオ通りになるからだ。

 そして以前の様な戦いを繰り広げてから、以前と同じ様にサクヤが地面に倒れると…俺はオートモードを解除して会話をする感じに持って行った。

 

 『中々楽しめたぞ!』

 「お前の狙いは何だ⁉︎」

 『我の狙いか…それはな‼︎』

 「ちょっと待て‼︎」


 デスブリンガーが言葉を発しようとしたその時、マサギが現れて会話を遮った。

 マサギは剣を構えると…デスブリンガーの横に立って、サクヤに剣を向けて来た。

 

 マサギは何を考えているのだろうか?

 次回、マサギの真意が明らかになる‼︎

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る