第8話 作戦の詳細
さて、約束の1週間です!
この作戦を承認して下さった国王陛下には感謝しかない。
下手すると…王国存亡の危機に関わるからだ。
どういうシナリオか説明しよう。
まず、仕込みの段階の数日前…
俺が商人にフェイクという擬態魔法を使って変身してから、馬車からはみ出そうなくらいの大きな魔石を王城に運びこみました。
王城に向かう前に城下街を通りながら、より多くの人々の目に触れさせる。
中身はまぁ…ただの岩にフェイクで偽装しているだけです。
それから2日後に魔王の幹部を名乗る者が王国に対して、「その魔石は我が魔王になる為に必要な物だから返してもらうぞ!」という宣言をします。
この際には、空中に投影出来る【ビジョン】という魔法と、変声と拡声の2つの魔法を使用して如何にも魔王の幹部だと思わせる様な芝居をします。
そして奪いに来る日を1週間後の日程に合わせます。
…ここまでは計画通りだったんだが、ここで誤算が生じた。
魔王の幹部の襲撃に、王国の騎士団で対抗する筈が…冒険者ギルドも参戦すると言い出した。
確かに国の一大事なら、城下街に拠点を置いている冒険者ギルドが参加するのは必然だろう。
そこで俺は、駒を増加させた。
本来の数なら騎士団だけなら丁度良かったのだが、冒険者が加わると数が足りなく感じたからだ。
そして名前も打ち合わせして…適当に【デスナイト】と名乗ろうとしたら、デスナイトは既に居て魔王城の門番という話なので、【デスブリンガー】になった。
更に…国王陛下や騎士団長達には王宮で見せたが、マサギ達には見せていない暗黒の鎧という禍々しい気を放った鎧を出現させた。
魔力を滅茶苦茶喰う上に、新月の夜にしか最大の効果を発揮しないという変わった鎧だった。
満月になると弱体化するので、1回目の襲撃は三日月を選び…2回目の襲撃は新月を選んだ。
そして魔剣を2本携えて、魔王幹部の【デスブリンガー】の完成だ。
これで作戦が決行できる!
そう思って、騎士団長と副団長を交えて打ち合わせをしたのだが…?
「サクヤ殿、駒というのはどの様な物なのですか?」
「最初はスケルトンを用意したのですが、兵士や騎士の動きを見る限りだと物足りなさを感じたので、スケルトンウォーリアに変更しました…が。」
「兵士ならともかく、騎士には物足りないかもしれないですね。」
「なら、兵士にはスケルトンウォーリアを仕向けて、騎士にはドラゴントゥースウォーリアを仕向けますか。」
「ドラゴントゥースウォーリアとは? 初めて聞く名ですが…」
「こっちの世界にはドラゴンはいないのか?」
「いない事は無いのですが…個体数はあまり多くないですね。」
ドラゴントゥースウォーリアって結構メジャーな物だと思っていたけど、この世界ではあまり知られてないのか。
「ドラゴントゥースウォーリアというのは、ドラゴンに挑んだ歴戦の英雄や英傑がドラゴンに敗北して喰われた際に…ドラゴンの歯にその英雄や英傑達の記憶が宿った物で、そのドラゴンの歯に魔力を与えると…歴戦の英雄や英傑達の記憶を持った戦士が現れる物でな、見た目はスケルトンみたいなんだが強さが別格というか桁違いな存在になる。」
「そうなると…我らでは対処出来るかもしれませんが、騎士達ではどうなるか?」
「いや、寧ろ良いかも知れんぞ! 訓練ばかりで遠征が少ないこの時期に騎士達にはストレスが溜まっているからな。」
副団長の意見に騎士団長が言った。
この騎士団長は結構鬼畜かもしれない。
「なら…ドラゴントゥースウォーリアの設定は、倒れた者に興味を示さずに、次に立っている者を襲うという感じにしますかね?」
「今回はそれで構わない! だが次回は本気で殺しに掛かって来る様に仕向けてくれ。」
「わかりました。 後はあれでも用意する…のは次で良いか!」
「サクヤ殿、あれとは?」
「それは次のお楽しみで…後は、この襲撃でマサギ達はどう対処するかねぇ?」
そしてまもなく…作戦は決行される。
この作戦の後は、多分…しばらく動けなくなるな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます