スキル『勇者』を売ったら、大金が手に入ったので推しの冒険者達につぎ込もうと思います。

コヨコヨ

第1話 プロローグ

――やっとだ……やっとこの面倒な人生から僕は脱却できる。


 僕は今、華々しいギルドの中にいる。


 目まぐるしく人が行きかう中、僕は叫びたかった。


「スキルを売ります!!」と……。


「ああ、何度妄想したら気が済むんだよ。僕は…‥」


 この時、僕の年齢は5歳。


 スキルを売るためには後10年歳が足りない。


 先ほど、スキルを貰ったばかりの僕は既にもう、このスキルを売りたくて仕方がなかった。


 どうせなら、誰かほかの人に買ってもらいたい、何ならタダでも構わない。


 僕はもっと畑を耕せるスキルが欲しかった。


 そうすればお爺ちゃんを助けられる。


 農業系スキルか、生産系スキルが欲しかった。


 お爺ちゃんとお婆ちゃんにもっと楽をさせてあげられるから。


「何で僕だけ、農業系スキルじゃないんだよ……」


 僕の村で、年の近い子達は皆、農業系スキルを神父様から貰っていた。


 正しく言えば、神父様を通じて神様から貰っていた。


――それなのに、それなのに。


「どうして僕だけ『勇者』なんてスキルをくれたんですか!! 神様!!」



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