あなたへ
羽弦トリス
第1話出会い
あれは、たしかプロ野球の日本シリーズの頃の季節でしたね。僕らは高校1年生の時、同じクラスだったのに、家庭科の授業で教師が選んだグループ分けで、僕の左隣に座るまで存在に気付いていませんでした。始めは、僕はあなたに興味を持っておらず、あまり喋りませんでしたね。僕らがしゃべるきっかけが、好きな球団の話しになり、僕が"ヤクルト"だと答えると、あなたも、"ヤクルト"を応援していると答えた時でした。
そして、学食のラーメン定食を賭けて、日本シリーズの勝敗を予想しましたね。僕が4勝2敗でヤクルトが勝つと予想して、あなたは4勝1敗でヤクルトが勝つと予想しました。
西武は強かったけれど、ヤクルトが勝ちましたね。何勝何敗かは忘れてしまいました。
お互いに、ラーメン定食を奢ることが無かったので、2人とも予想が外れたのでしょう。
25年前の話しなので、2人の記憶は一部欠落してしまいました。僕はバイク登校で、あなたはバス登校。僕は弓道部で、あなたは帰宅部で後に茶道部に入部しましたね。
だけど、時間がずれて一緒に登下校する事は、僕は何も気にしないし、特に必要な事ではありませんでした。
家庭科の授業で僕らは知り合い、土曜日は半日授業だったので、部活を1時間遅刻し、UNOをよくしましたね。自販機でしょっちゅうあなたに、いちごミルクを買わされました。UNOは僕はてんでダメでした。
そうこうしていると、3学期が始まる前に僕に電話を掛けてきましたね。
今でもハッキリと覚えています。
「羽弦君、もし良かったら私と付き合ってもらえませんか?」
と。
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