第14話 兄弟喧嘩


「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 大きな掛け声とともに相手の方に立ち向かっていくとカナが大声を出した。


「ダイス! 作戦はどうするのよ!」


「おっと! ごめん。ついやる気になりすぎた」


「しっかりして! 私が魔法で攻撃するからその隙を狙うんだよ」


 カナは相手に魔法を撃ち続けるがランランの魔法で全て打ち消されてしまう。そしてベルゼットがこちらに走ってきた。

 俺は対抗するように刀を構えると、ベルゼットが手に魔法を発動させると一瞬にして弾けてしまった。


「な、なんだ」


「気をつけて! 時差の魔法かもしれない!」


 警戒するも何も起こらない。にやけるように笑うベルゼットに俺は刀の波動を打ち込む。

 だが、ランランに消されてしまった。


「ベルゼット! 何をした!」


「そんなこと聞かれて言うわけないだろう! 学院生に喧嘩を売られたのは俺だ。負けるわけにはいかないのでな!」


 どうやらリヤに喧嘩を売られたのはこのベルゼットだったようだ。おそらく非常に怒りが溜まっているのだろう。


 すると、カナの周りが急に黄色く輝きだした。俺はすぐにベルゼットの魔法だと気が付き、カナを押し倒すように魔法を避けさせた。


「なんだこいつの攻撃は」


「俺の魔法か。しょうがない教えてやろう! 俺の魔法は魔力を好きな場所に置いておくことができそこから魔法を発動できる。これが俺の魔法だ!」


「なんだこいつの魔法は。狡くてとてもウザい」


「ウザいだと! 人の魔法を!」


「あぁ。なんだか微妙に強いし、まるでリヤみたいなウザさを感じる」


 俺がカナの様子を見に行くと、ベルゼットが俺に聞いてきた。


「お前、今なんと言った?」 


「うん? 魔法がリヤみたいなウザさがあるって言ったが」


「お前、リヤを知っているのか?」


「あぁ。あの問題を起こさないと気が済まないやつな」


 俺は、ベルゼットにリヤの事を聞かれたので少し答えた。何故かすごく興味があるように俺の話をよく聞いている。

 するとランランが言う。


「ベル様? リヤってあのベル様の弟のですか?」


 それを聞いた俺は何かの間違いかと思い聞き直した。


「今なんて言った?」


「お前の友達のリヤはな。俺の弟なんだ」


「ベルゼットの弟? リヤが」


「そうだ」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 ふざけるなよ。喧嘩を売られたベルゼットと喧嘩を売ったリヤが兄弟だと? ただの兄弟喧嘩じゃねぇか! 俺たちの大学院転入計画がただの兄弟喧嘩でぐちゃぐちゃなんですけど! しかもリヤの兄弟喧嘩だそ! 元々でもかなりめんどくさいやつだったのにマジでなんなんだあいつは!


 ふざけるなぁぁぁぁぁ!

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