14
side. Kentarou
「持ってこなかったんスよ……ごっ、ゴムとローション…」
流石に恥ずかしくって語尾は曖昧に。
それでも先輩には、オレの云わんとする事がちゃんと理解出来たようで…。
その証拠に先輩は、ボンッと音が鳴りそうなくらい顔から湯気を出し…耳の先まで真っ赤っかに染まっていった。
「ごめんなさい~先輩ぃ…ホント甲斐性ナシで…」
折角のチャンスを、みすみす逃したオレの心は…
完全にポキリ。
勇気を出して誘ってくれた先輩に。
恥をかかせてしまった罪悪感に駆られるオレは、堪らず背を向け項垂れた。
ハァ…何やってんだろ、オレ。
「……ソレはないとダメ、なのか?」
「えっ…?」
そりゃあ、絶対必要…とまでは言わないけど。
先輩も、オレも。童貞な上に男同士のセックスとか、未知との遭遇なわけで。
ネット調べによると、男性間での性行為には性病なんかのリスクも高いらしいし…中出しは、お腹を壊したりもするみたいだから。
他にも色々と手順があるみたいだけど、
上手くやれるかは不安だし…。
先輩に嫌な思いだけは絶対させたくないから。
やっぱりゴムは…必要だと思う。
ローションに関しては、女の子にも使うものだけど。
男性同士だと更に必要性が高いと思われる。
だって男が使う場所はお尻…────つまりは肛門で。
排泄意外に遣う機会もないソコに、無理やりオレのナニを突っ込もうってんだから、
考えただけで痛そうだ。
ソコも潤滑液でじっくりと柔らかくし、相手の負担を軽減させた上で。互いに気持ち良くなる為には、必須アイテムといえるだろう。
────って、説明すると更にヘコんでくるなぁ…。
オレのプチ情報に顔を青くさせながら、
全てを聞き終えると俯いてしまった先輩。
「でも……シたいんだろう?」
「いいってば…オレ、先輩に無理させたくないし。」
ね?とオレの意志の固さを念押しする。
しかし、今日の先輩は一味違うから。
「………持ってる…」
「へっ…!?」
何を?と目で問えば、素っ裸のまんま先輩は立ち上がり。
机に向かい、引き出しからゴソゴソと何かを取り出すと…オレに向け、投げて寄越した。
ソレは未開封のまっさらなコンドームの箱と、
並々と入ったローションのボトル、で…
マジッス、か…
「えっえっ…まさかコレを、先輩が自分で…?」
「ちっ違う…!!相談に乗ってくれた、母さんの知り合いから貰ったんだ!!」
と…必死な形相で捲し立てられてしまった。
そ、そーですよネ…。
「……どうした?使わないのか?」
そろそろオレの焦らしプレイに限界な先輩が、
泣きそうな顔で問うので。
「ハイっヤります…!!」
オレは鼻息荒く大きな声で返していた。
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