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side. Kentarou




「持ってこなかったんスよ……ごっ、ゴムとローション…」



流石に恥ずかしくって語尾は曖昧に。

それでも先輩には、オレの云わんとする事がちゃんと理解出来たようで…。



その証拠に先輩は、ボンッと音が鳴りそうなくらい顔から湯気を出し…耳の先まで真っ赤っかに染まっていった。






「ごめんなさい~先輩ぃ…ホント甲斐性ナシで…」



折角のチャンスを、みすみす逃したオレの心は…

完全にポキリ。


勇気を出して誘ってくれた先輩に。

恥をかかせてしまった罪悪感に駆られるオレは、堪らず背を向け項垂れた。



ハァ…何やってんだろ、オレ。







「……ソレはないとダメ、なのか?」


「えっ…?」



そりゃあ、絶対必要…とまでは言わないけど。



先輩も、オレも。童貞な上に男同士のセックスとか、未知との遭遇なわけで。


ネット調べによると、男性間での性行為には性病なんかのリスクも高いらしいし…中出しは、お腹を壊したりもするみたいだから。




他にも色々と手順があるみたいだけど、

上手くやれるかは不安だし…。


先輩に嫌な思いだけは絶対させたくないから。

やっぱりゴムは…必要だと思う。





ローションに関しては、女の子にも使うものだけど。

男性同士だと更に必要性が高いと思われる。



だって男が使う場所はお尻…────つまりは肛門で。


排泄意外に遣う機会もないソコに、無理やりオレのナニを突っ込もうってんだから、



考えただけで痛そうだ。





ソコも潤滑液でじっくりと柔らかくし、相手の負担を軽減させた上で。互いに気持ち良くなる為には、必須アイテムといえるだろう。



────って、説明すると更にヘコんでくるなぁ…。









オレのプチ情報に顔を青くさせながら、

全てを聞き終えると俯いてしまった先輩。





「でも……シたいんだろう?」


「いいってば…オレ、先輩に無理させたくないし。」



ね?とオレの意志の固さを念押しする。



しかし、今日の先輩は一味違うから。






「………持ってる…」


「へっ…!?」


何を?と目で問えば、素っ裸のまんま先輩は立ち上がり。


机に向かい、引き出しからゴソゴソと何かを取り出すと…オレに向け、投げて寄越した。




ソレは未開封のまっさらなコンドームの箱と、

並々と入ったローションのボトル、で…


マジッス、か…






「えっえっ…まさかコレを、先輩が自分で…?」


「ちっ違う…!!相談に乗ってくれた、母さんの知り合いから貰ったんだ!!」



と…必死な形相で捲し立てられてしまった。


そ、そーですよネ…。






「……どうした?使わないのか?」


そろそろオレの焦らしプレイに限界な先輩が、

泣きそうな顔で問うので。





「ハイっヤります…!!」



オレは鼻息荒く大きな声で返していた。

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