突風に皮肉を込めて風を刺す
「飛び道具がない。」
「キュ?」
アグに
「今回のやつはめちゃめちゃに物理攻撃だったから相性良かったけど、今の俺は上空から飛び道具ブッパをされるだけでできることがほとんどなくなるんだよな。」
《流星の賛美歌》はあるけどあれは完全に例外だろ。牽制に撃ったら地形変わるかもしれないやつとかポンポン撃てねぇわ。
「久しぶりに師匠にお願いするか…」
あの人、人?まぁいいか。あの人物理法則無視した動きするし、多分ビームくらい撃てるだろw
「じゃあ、キュランはいい子にしてるんだぞ!俺はちょっと修行してくるからな。」
「キュ!しゅぎょうがんばってね!」
「ふへ、浄化されるぜ…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
てなわけでやってきました。杖師匠の鬼畜フルダイブ修行シミュレーション、
通称『杖鬼』
「師匠、お久しぶr…フンッッッッ!!!!」
さすが師匠、挨拶中に躊躇なく目潰しを狙うなんて鬼畜だぜ!!!
「師匠、ほっ!今日は、ふっ!遠距離、よっ!攻撃を、「ガン!」教えてもらいに来ました!」
師匠はどういう仕組みかわからないが、多分言葉が通じる。聞いたことがないのでわからないが、多分喋ることもできる。俄然、親父がどうやってこのソフトを手に入れたのか気になるところだが、今は集中しよう。
ここで師匠の攻撃が止まった。師匠が止まったところは初めて見たな。
「……我が最初にして最後の弟子よ。見極めよ。さすれば与えられん。」
……師匠のセリフがかっこよすぎる件。てか、え?女の人なの?マネキンみたいな感じだから性別とかはないのかと思ってたんだけど?いやでも確かに骨格は女の人っぽい?…いや分からん。
とりあえず、見極めよって言われたし師匠から目を離しちゃいかんな。
師匠は杖をレイピアのように右手に持ち、少し腰を落として刺突の構えを取った。しかし俺と師匠との距離は10mほど離れている。この距離で刺突を当てるのは流石に無茶なんじゃ…ッ!?
「《風刺》」
気づけば、俺の体には穴が空いていた。崩れ落ち、ポリゴンに変わっていく体を師匠が見下ろしている。リスポーンすればおそらくまた今の技を撃ってくるだろう。それまでに今のが何なのかを考えないと。
構えからして刺突系統の技なのは間違いないとは思うが、なぜあの距離で届く?俺が倒れた時、師匠の立っていた場所はほとんど変わっていなかった。ということは実際に杖を刺されたわけじゃないはず。それに、《風刺》と言っていた。風?まさか刺突で空気を撃ち出したのか?でもここは限りなく現実に近い物理法則で作られている。師匠は力自体はそこまで強くないから、なにかからくりがあるのは間違いないんだ。でも一体どうやって?
「もう一度行くぞ。《風刺》」
…くそ、なにが飛んできているのか見えない。一応、杖の方向から軌道を予測して防御はできたが、これじゃ見極めるも何もないな……ん?師匠はたしかにこの技を見極めろと言った。ならば目で見える範囲にこの技の秘密があるはず。そうだ。防御はできるんだから落ち着いて観察しよう。焦ってもいいことはないのだから。
……もしかしてこれか?これなら俺でもできるかもしれない。
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