第13話 黒夜の正体①




黒夜「……都合の悪いの事は忘れるんですね

26年前の事、一度思い出して下さい」


[………………]


黒夜ちゃんが美青年になった…

しかも声がイケメン…


あまりの変貌に、

ポカーンとしてしまった。


翠狐さんと違って

黒色の狐耳の生え、神装束…

私と同年代ぐらい?


いやいやっ…

考察している場合じゃない

まずは黒夜ちゃんにお礼だよ!



「…くっ黒夜ちゃん

助けてくれてありがとう…」


黒夜「今回は…間に合って良かった…

本当に…26年前も雛美火様に

殺されかけたんだから…」


「………えっ……」


雛美火さんに殺されかけた?…26年前?

どういう事なの黒夜ちゃん…


「…それって…どういう…」


言っている内容が分からなくて

黒夜ちゃんに聞こうと思った時、




雛美火「…さっきからふざけた事を…

いい加減にしろっ!!」


雛美火さんが声を荒げ、

ダンっ!!足を地面に叩きつけた。



ゴゴゴゴゴォォォ!!!


パキパキパキッ!



「ひっ!」



瞬間、地面が揺れ、

黒夜ちゃんと私の間に地面の裂けめが

でき離れ離れに…と思ったら



黒夜「真澄っ!こっちへ!!」


グイッと黒夜ちゃんが私の腕を

引っ張ってくれて離れる事がなかった



でも…今の私は…

お札を貼っている状態で…結界が

黒夜ちゃんに…



バチッバチバチ…


黒夜「…っ」


結界の効果があるのか

苦しそうに顔を歪めていた。



「黒夜ちゃんっ!!」


黒夜「……大丈夫っ…真澄

これくらいなんとも…

でも…結界の効果が薄れている」


「……っ!!」


黒夜「僕が雛美火様の相手をするから

早くっ…」



ダァァンッ!!!(地響き)



黒夜「………っ!!」



大きな地響きに驚き

音の方に振り向くと

怒りで顔を真っ赤にした雛美火さんが

近づいてきた。



雛美火「何故、邪魔をする?!

黒夜っ貴様には関係ないだろ

真澄さんから離れろっ!!

さもないとっ…」


黒夜「………関係あるね…

だって真澄は…僕と緑の…


『大切な娘』だから 


娘を守る理由なんてあるの?」



雛美火「なん…だと…」



「………黒夜ちゃん……?」


今なんて言ったの…



…大切な娘…


母さんとの…


黒夜ちゃんが私の父さん?!



いや…でも…私は人間で、

父親だって…あの…

ギャンブル好きの暴力男のはずじゃ…


だって苗字も「新川」だし


生まれてこの方25年間

私は人間界にいた…


あまりの内容に驚き、

バッと黒夜ちゃんを見た。



黒夜「……いきなりでびっくりしたよね

ごめんね…伝えるのが遅くなって

本当はゆっくり話をしたいけど…」


雛美火「真澄さんが……黒夜の娘…

……何をデタラメを!

彼女は人間で妖力も一欠片も…

ないじゃないか!」


黒夜「………本当に都合に良いときだけ

忘れてさ…」


叫ぶ雛美火さんをよそに

黒夜ちゃんは、はあっとため息を吐き。



ギロっと雛美火さんをひと睨みして、

続け様にこう言った。



黒夜「…26年前…雛美火様

ある人間の女性に攻撃したよね…」


雛美火「……ぐっ……あの時は人間が

か弱い生き物だと…知らずに…」


黒夜「その女性のお腹には子供が

いたんだ」



雛美火「…!!……まさか…

お腹の子供は…」




黒夜「…そう…その子供が真澄だよ


それと…どうして妖力が一欠片も

ないって言ってたっけ…」


雛美火「……………っ」


雛美火さんはさっと顔を青ざめる。



黒夜「……その様子だと気づいたね

そう…雛美火様の攻撃で

真澄は妖力を失い人間として

生まれたんだ


ありがとう、真澄を人間にしてくれて…


でもね…妻と娘を殺そうとした男に

渡せる訳ないでしょ!!…だから…」


黒夜ちゃんは私に

にこっと笑い、お札を取り出し

私の腕に貼り付けた。



すると、弱りかけていた結界は

強くなり、黒夜ちゃんを弾いた。



「くっ黒夜ちゃんっ…大丈っ」


黒夜「真澄…本当に苦労をかけて…

駄目な父親で本当にごめん…

ごめんね…


さあっ走って…


【彼がいる場所】に向かって!」



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