過去話 黒夜と緑④
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※黒夜side
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僕達は食事を始めた。
「いっ…いただきます」
緑「どうぞ、食べて 食べて」
「美味しい おにぎりの塩加減が
緑茶に合うね」
緑「ふふ お口にあえて良かった」
最初は…他愛のない話をしていたけど
次第に…
緑「……………………」
「…………っ……」
緑の口数が減り、
ついには喋らなくなった。
このままだと良くない
あやふやにされると思い、
意を決して僕から切り出した。
「あのっ…緑、これからの事なんだど…さ
僕と一緒に牡丹王国に暮らさない?
…ずっと僕の隣に居てほしいんだ」
緑「……黒夜君……
……いいの?本当に
あなたの側に居て…
だって私は……」
僕の思いを聞いた緑は、
悲しそうな表情をして…こう言った。
緑「人間だよ…黒夜君にみたいに
妖術も使えない、力もない
歳の取り方だって私の方が早い
重荷になるだけだよ…」
「何言ってるの緑!
重荷だなんて自分を卑下しないで
僕、怒るよ!」
緑「黒夜君……」
「……人間と妖怪の違いは
ちゃんと理解している
それを踏まえた上で緑と一緒に居たいんだ」
分かってるよっ
先に人間が年取って死ぬのも
力だって、全くない事ぐらいも…
何もかも違う事ぐらい…
本来は交わるべきではない種族
だけど もう…僕は
緑のいない世界は耐えられない
(……もし、緑が行かないって言うのなら…
悪いけど無理にでも…連れて行く)
そう、言おうとした瞬間、
緑「嬉しい…」
緑は瞳にいっぱい涙を溜め、
嬉しそうに笑みを浮かべていた。
ぽた ぽた(涙の音)
「……緑…」
緑「黒夜君の側に居ていいのね…
私、貴方と一緒に居たい
不束者ではございますが、
よろしくお願い致します」
「緑…ありがとう…
今更だけど…順番が逆になってごめんね
大好きだ、愛してる 2人で幸せになろう!」
愛おしさあいまって
ぎゅっと緑を強く抱きしめた。
「これで、緑は僕の家族だ」
緑「うん…うんっ!」
あの時は今まで生きた中で
1番幸せだった。
もう2度と離さない、
これからずっと永遠に一緒にいるんだと
信じて疑わなかった。
僕と緑がいて僕達の子供がいる
未来を描いて…
だけど、1ヶ月後…
『あの男』が この奏神社に
現れた事によって…
幸せだった日々は崩れ去った。
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あの日いつもの様に
緑と朝食をとっていた。
「…緑…大丈夫?
さっきからご飯進んでないよ
体調が良くないの?」
緑「……だっ大丈夫
少し気持ち悪いだけ…だから
うっ…ごめん…」
『ちょっと お手洗い』と言って、
そそくさと駆け出した。
……大丈夫かな
ご飯食べ終わったら、
近くの病院に診察して貰おう…
そう思い味噌汁を飲もうと
お椀を持った時…悲鳴が聞こえた。
緑「きゃぁぁぁっ 黒夜君助けっ…」
ドサッ!!
「えっ?!緑?! どうしたの!」
ありえない!此処は僕の結界が張っていて、
緑以外は入る事ができないのに
結界を解く事が出来るのは、
僕より強い妖怪じゃないと….
……まさか……
早く行かなくちゃ!!
僕は急いで緑の元へと向かった。
「緑っ緑っ無事なら返事をして!!」
バンっッ!!(襖を開ける音)
「…………っ!!!」
嫌な予感が的中した。
何でこの方達が此処にいるの?!
今、広がっている光景が夢だと
信じたかった…
雛美火「黒夜…貴様 修行の身でありながら
これは一体どういう事だ?」
倒れて気絶している緑の隣で
牡丹王国の『第一王子』
雛美火・紅様が僕に睨みを効かしていた。
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