一方、救助へ向かった3人組は①(オキニスside)




クモード王国から旅立って6日目が経った。


移動の際は急いでいる為、

本来の姿に戻り道を進めたり、

ここまでの道のりは決して楽では

なかったが、


シリンヌさんとダージリンさんの

協力があったからこそ、

問題なく進む事ができた。


※この際、シリンヌは翼を生やし飛行。

ダージリンは移動の時、元の姿に戻り、

オキニスの頭に乗せて貰ってる



そうして、気づけば

牡丹王国まで残り少しとなった。


本当は…今すぐにも牡丹王国に

乗り込みたいが……


ダージリン「よしっ!ここで一旦休憩だ

明日の為に体力温存しとかねーと

今までの努力が水の泡になっちまう」


「そうですね…本当は今すぐ真澄を

助けに行きたい所ですが、体力がもう…

ダージリンさん手伝います」


体力温存の為、今日はこの場所で

野宿をする事に


さっそく、俺とダージリンさんは

魔法で小型化した荷物を元に戻し、

キャンプの準備を始めた。


シリンヌ「なあ、2人とも何か俺も手伝う事はあるか?」


ダージリン「………あーシリンヌ王子は…」


ダージリンさんが言葉に詰まった

それもそうだ…なんせ3日前…


……………………………………………………


(3日前)


ダージリン「よしっ、今日はここまで!

移動は明日にしよーぜ」


「そうですね ちゃんと休まないと

いざという時、頭が回らなく、

正しい判断ができないですからね」


俺とダージリンさんが、

キャンプの準備をしていると…



シリンヌ「2人とも…何をしているんだ?

布なんか広げて」


シリンヌさんが不思議そうに

俺達の様子をじーと眺めていた。


ダージリン「キャンプの準備をしているんだ

今日はここでテントを張り、焚き火を作り

明日の為に休むんだ」


シリンヌ「テント?焚き火?何それ」


…マジか…通りで出発する際、

荷物が少ないと思ったら…


ダージリン「おい…シリンヌ王子は

野宿する時は…どうしているんだよ」


シリンヌ「俺は不老不死だから、

休む際は地べたか木の上で休む

部下も俺と同じようにしているぞ」


シリンヌさんの言葉に……絶句した。

それだけ疲れが取れるなんて

魔族だから成し得る技なのか…


俺は真似できない

と言うか疲れが取れる訳ないだろ

地べたや木の上で寝るだけじゃ!


ダージリンさんも俺と同じ意見なのか、

苦笑いをして


ダージリン「……それだけで

疲れが取れるなんて、すげーな…

ただ俺様達の種族はそのやり方じゃ

疲れが取れねーから


シリンヌ王子の分も用意したんだが、

地べたの方がいいか?」


シリンヌさんの分のキャンプ用具を

をバックの中に戻そうとした。


シリンヌ「いや、せっかく用意してくれたなら 俺も今日は2人のやり方で休みを取りたい

そうだ!何か俺にできる事はあるか?」


ダージリン「わかったぜ じゃあシリンヌ王子に焚き火台に火を起こしてもらおうかな

焚き火台の横に火起こしがあるから

それを使って火を……」


シリンヌ「火を出せばいいのだな!

分かった!すぐに出す!いくぞ!」


ダージリン「はっ? だから火起こしは

向こうに……おっおいおいおい!!

何するつもりだ!馬鹿やめろ!!」


何を思ったのか

シリンヌさんは両手を前に突き出し、


焚き火台に向かって

呪文を唱え


シリンヌ「ファイヤー!!」


焚き火台に火を付けた。



ボォ!!!


焚き火台に火がつくまでは、

良かったが…



ゴォォォォォ


あまりの威力に色んな所に燃え移り、


バチッ!ゴォォォ


ダージリン「何やってんだテメー!

ふざけんな!!あぁ、俺様のテントがぁぁ…

姉貴から貰った大切な……」


「ダージリンさん!気をしっかり!

このままだと不味いですよ

辺り一面焼け野原になりますよ!

水持ってきます!!」


シリンヌ「あれっ?力加減したのに…

何?!ピンキーから貰った物だと

すまない!すぐ火を消す!」




結果…

ダージリンさんのテント…

キャンプ道具の一部が

犠牲となってしまった。




……………………………………………………




「……………」


……思い返すだけでゾッとした。


もし、またシリンヌさんに

手伝いのお願いをしたら……


3日前の悪夢になってしまう。


俺とダージリンさんはお互いに頷き

シリンヌさんに向かって こう言った。




「「シリンヌさん/王子は何もしなくて

いいから ジッとしてて下さい」」


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