第6話バニラビーンズを求めて…(カスタードプリン)
…久しぶりに夢を見た…
「ママッ…ママ!!行かないでぇ!
ますみっ独りぼっちになりたくないよぉ」
母さん「ごめんっ…ママは
しっかり罪を償うから…待ってて…」
15年前のあの日、
母さんと私が離れ離れになった日
悲しくて、独りぼっちになりたくなくて
離れたくなくて…
いくら手を伸ばしても…
段々と母さんは遠のいていく。
お願い、行かないでっ
…ますみは……私はっ……
私はっ…まだ、貴方に何も
返せてないのに…!!
…………………………………………
………………………………
……………………
「 行かないで!!」
ガバッ!!(起き上がる音)
……夢…か……
もう15年前の事なのに…
母さん……今何しているのかな
…大丈夫かな…
目を覚ますと、日が当たり
鳥の囀りが耳に聞こえた。
いつもなら、ここで母さんが、
(起きなさい!お仕事近くするわよ)と
声がするのだが…
しーん……
「静かだな……」
ここは異世界…
しかも1人では大きすぎる
天蓋カーテン付きのベッドの上にいる。
「……いつ見ても全然慣れないな…
よしっ!起きなきゃっ…」
しんみり する時間はない、
今日は寄らなきゃいけない場所が
あるから急がないと!
そう思い、朝の身支度をした。
朝の身支度が終わり、家を出て、
待ち合わせ場所に向かった。
「ピンキーさん !お待たせしました」
ピンキー「大丈夫だよ 真澄ちゃん 私も今来た所!じゃあ、早速いきましょうか」
「はいっ宜しくお願い致します。
ピンキーさん」
今日から2日間、お仕事はお休み、
お休みを使い、私はある食材を探す為、
ピンキーさんの
その食材の名は…
『バニラビーンズ』
今回、お城で売るカスタードプリンの材料に
欠かせない物で色んな食材を扱っている
ココルト市場には無かった。
牛角とか砂糖…他の材料はあるのに…
困り果てた所、ピンキーさんから
バニラビーンズかも知れない物が、
自分の故郷にあると言ってくれたので…
……………………………………………………
(数日前)
「お願いします!その場所に
連れてって下さい!クモード城で
販売するお菓子の材料に必要なんです!」
ピンキー「もんちろん、いいわよ。ただし真澄ちゃんのお菓子と交換条件ね」
「はいっ!わかりました!!
ありがとうございます。」
…………………………………………………
…と言う経緯でラピスラズリの森へ
向かう事なった。
ラピスラズリの森…別名:妖精の村…
妖精が住む森…どんな場所なんだろう。
妖精も見た事ないし…
なんだか楽しみだな!
「そうだピンキーさん、
ラピスラズリの森へは、
ここから大体何分ぐらいで着く予定ですか」
ピンキー「…えっーと…歩いて3時間かな
それと…森のシキタリとして、
馬車や絨毯などの移動手段は使えないのよ…
ごめんね…という事……真澄ちゃん…
頑張りましょ!!」
「……あっ歩いて…3時間…頑張ります」
…体力には自身がないけど…
これはバニラビーンズの為だ…
頑張れ私!この材料さえ手に入れれば
カスタードプリンが作れるのよ!
こうして私は、ピンキーさんの案内の元、
足を進めた。
ザック ザック ザク
ザク ザク
鬱蒼とした森の中…
ピンキーさんを前に私は一歩、一歩と
目的地へと足を進めている。
ゼェ ゼェ…
きっきつい…歩き始めてから、
どれぐらいの時間が経ったんだろう。
こんな事になるんだったら、
運動をして体力をつけるべきだった…
ピンキー「真澄ちゃん!
あともう少しで着くわよ!頑張って」
「はいっ……!」
…ピンキーさん、すごいな…
疲れていないのかな…
平然とと歩いているよ
月に一回は帰省してるって、
聞いたから慣れているのかな?
…と思いながら歩いていたら、
急にピンキーさんが立ち止まった。
ピンキー「…!着いたわよ真澄ちゃん。
お疲れ様!ここがラピスラズリの
森の入り口よ」
「本当ですか!あれ…でも…何も……」
辺りを見渡しても、
それらしき場所がない。
まだ、森の中だ…
ピンキー「ちょっと…待っててね
あった あった」
ピンキーさんは、ガサゴソと
バックの中から、
金色のアンティークな鍵を取り出して…
ピンキー「開け!ラピスの扉!!」
鍵をかざし唱えると…
ガチャ!!
扉が開く音がして、空間に亀裂が入り
人2人が入れるぐらいの大きさに広がった。
ピンキー「さっ…閉まっちゃう前に
中に入りましょう」
「はっ…はい!」
ピンキーさんの後に続き、
急いで中に入ると…
ザァァ…
一瞬にして空気は花の香りになった。
そして……
「わぁ…綺麗…
ここが…ラピスラズリの森…」
そこには雲ひとつない青空に、
色とりどりの綺麗な花が咲き乱れていた。
ピンキー「そうよ!ようこそ
ラピスラズリ森へ!
そろそろ迎えの人が…あっ来たわ。
おーい ダージリン!」
ピンキーさんが手を降ってる方向を見ると、
綺麗な女性が手を振りながら、
歩み寄ってきた。
わ…美人さん!
光に反射してキラキラ光る
黄色の長い髪に、透き通った青色の瞳。
ただ何故かピンキーさんと
雰囲気が似ているような…
もしかして、お姉さんとか…
ダージリン「よぉ!お前ら待ってたぜ!
長旅ご苦労様、あとは俺様に任せろ」
「……………」
声が男前ー!!えっ…男性なの?!
あっ…よく見ると胸ないし…
喉仏もある…
ダージリン「この黒髪の女が真澄だな?
姉貴から話は聞いてる よろしくな!
俺様はダージリンだ。」
「よろしくお願い致します。ダージリンさん、
まさか、ピンキーさんに弟がいるとは
思いませんでした。」
ピンキー/ダージリン「「………」」
2人が黙り込んで私をじっと見た。
……えっ?私何かまずい事言った?
もしかして…逆パターンでダージリンさん…
本当は女性だったとか…
「ごっ…ごめんなさい 私!!」
ピンキー「凄い!!ダージリンの性別を
間違えないなんて!!」
「……へ?でも声からして完全に…」
ダージリン「あぁ、声がこれでも俺様よく女に間違われるから…それなのに凄えな!!
お前気に入った!」
ピンキー「…ダージリン…申し訳ないけど真澄ちゃんはやめた方が良いわよ…」
ダージリン「ばっ…ちっげーよ!そっちの気に入ったじゃねーよ。それにこの女から、
あの狼の匂いがすっげーするし!
だれも手を出さねーよ」
「…………?!」
えっ…私…そんなに獣臭いの?!
ちゃんと毎日身体を洗ってるのに…
スンスンと匂いを嗅いだど、やはり無臭…
でもきっと妖精は匂いに敏感なんだろうな
次からは気を付けよう…
ピンキー「あぁ…ちゃんと
分かっているじゃない」
ダージリン「それに俺様には心に決めた奴が…じゃなくて!!ばあやの所に行くぞ」
ピンキー「へぇ…心に決めた人か
後で詳しく聞かせて貰おうかしらね
その前にバニラビーンズ探し!
ついて来て真澄ちゃん。」
「はいっ!!」
ばあやさんという人に会えば…
バニラビーンズの手がかりが分かるのね…
「待ってなさい…バニラビーンズ!」
よいしょっと荷物を背負い直し
2人を追いかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます