狐火☆バレット
猫とホウキ
第一章 蛇
1章-プロローグ 蛇の独り言
窓を開けると、廊下に向かって風がビュンと吹き抜けた。ああ、こんなに風が強かったのかと、慌てて窓を閉めようとするが、隣の席の女子生徒に「今日は暑いし、たぶん開けたままでも大丈夫だよ」と言われて、私は少し悩んで──結局、窓を閉めるのを
昼休み。教室は気怠い雰囲気の中にある。再来週には中間考査、しかしゴールデンウィークが終わったばかりということもあり、皆、まだ身体から休みモードが抜け切れていない。
それは私も同じ。特に窓際のこの席は、陽だまりで心地良く、気を抜くと睡魔に屈してしまいそうになる。
「クウコ。てめえ、相変わらずコロッケばっかり食ってんのなぁ」
さきほど声をかけてくれた女子生徒に、ちょっとワイルドな雰囲気の男子生徒が話しかけている。恋人関係という様子でもないのに、いつもつるんでいる二人組。椅子に座っているのが
「だって美味しいし。コンビニ通るときに、ついお昼用に買っちゃうの」
「そりゃ理由になってねえ。いくら美味くても、毎日食ってりゃ飽きるだろ」
「そう? 好きなものなら飽きないけど」
最上は少しもさっとした(もふっとした?)栗色の髪の毛先を、思いついたように指先で弄り始める。平気な顔をしているが、たぶんコロッケのことを少し恥ずかしいと思ったのに違いない。
この良く目立つ
ただ私は知っている。彼らが虎や兎などではないことも、普通の人間でないことも。そして思う、あの栗色を見るたびに──
「早く食べたいなぁ」
その場面を想像して、私は涎を垂らしそうになった。お昼ごはんを食べたばかりだというのに。
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