守護者の幸運1
大剣を背中に背負った女性、セナが後ろを振り向くと、一つに結んだ赤髪がふわりと流れた。
左手に杖を持った銀髪の男性、リアムは、ふと気づいたように足を止め、女性に視線を向けた。
春のやさしい日差しが二人の頬を温めた。
「リアムー、リーアームー、かまってー」
セナが口を尖らせながら言うと、リアムは困ったように眉を下げた。
「暇なの? モンスターでも狩ってくれば」
リアムの言葉に、セナはにっこりと笑って返事をした。
「言うけどさー、モンスター狩るのだって、命懸けなんだぜ?」
「じゃあ自分で考えろ」
「えー」
セナが拗ねたように頭に手をやってそっぽを向くと、リアムはセナを見守りこっそり微笑んでいた。
冒険者として暮らしているリアムとセナは、人間の領域を犯すモンスターやドラゴンを倒して日銭を稼いでいた。
大剣使いのセナは、背中に背負った大剣でモンスターに叩きつけ、攻撃する前衛タイプである。
魔法使いのリアムは、左手に掲げた杖から現れる魔法を使って、セナの援護をする後衛タイプであった。
「リアム、こうなったら一緒に日銭稼ぎに行こうぜ!!」
「セナ、言い方ってものがあると思うよ」
セナが現実的な言葉で狩りに行こうと誘うと、リアムは少し落ち込んだ様子で、先に進んだセナを追いかけた。そう、二人はいま金欠であった。
冒険者として暮らしている二人は、毎日宿暮らしである。他にも食費や武器の費用など、何かと出費が絶えず、ギリギリのお金でその日暮らしをしていた。
二人が向かっている場所は、岩に扮したモンスターが蔓延る岩場であった。
モンスターの増加により岩が増え、村の近くまで侵食したことで、今回のクエストが出されたようだった。
岩場に到着すると、ゴツゴツとした硬そうな岩が密集しており、どれがモンスターなのか見分けがつかなかった。
「リアム、爆発!」
「りょうかい」
リアムが爆破魔法を放つと、中くらいの岩の塊が大きく欠けた。
「うわ!」
リアムの攻撃によって欠けた岩は、ここら一体に蔓延る残りの岩達と合体して、大きな亀のような岩ドラゴンに変化した。
「ドラゴンなんて聞いてないよ!」
「……逃げよう!」
二人が走って逃げるも、ドラゴンの歩くスピードは速かった。
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