第79話 【国王様゛のお話】―7
うぅぅぁうぅぅ、腹が痛いぃぃぃぃ。
牢獄で出されるクソ不味い食事。このアザトーイ王国国王セバスチャン様に、臭った野菜など出しやがって、ただでは済まさんからな!
「もが《コラ》、ほふおがひへほがあへ《もっとうまいものだせ》」
あのクソガキ、俺様に
「何言ってんだか、分かんねえよ! うぜぇから黙ってろ」
あぎゃ!
牢屋番のクソ衛士が槍の
「ほへ《クソ》、ひやろ《やめろ》!」
うぐ、また腹が痛くなってきた。
ぐわッ!
衛士の突く石突が俺様の腹に刺さる。
「こ、コイツ、漏らしやがった!
臭えッ! テメェ終わってんぞゴラァァァ!」
ク、クソ。この俺様が…………。
◆
牢獄に入って何日経ったか分からない。
牢獄の中は排泄物の異臭が立ち込めているが、俺様はもうどうでもよくなってきた。
不味い食事を食えば腹を壊すし、今や衛士が投げ入れる飯は、すぐに汚物にまみれて食えたものじゃない。
畜生! あのクソガキとルミアーナのせいだ! 絶対に許さんぞ!
そんな時だった。
「陛下! 助けに参りました」
牢獄の廊下から聞こえる声。よく見れば見覚えのある顔だ。
「今から鍵を開けます」
たしか、アホダインの部下だった男だ。
俺様は弱った足腰で鉄格子まで歩くと、ちょうど男が鍵を開け終わった。
まったく来るのが遅いぞあほアホダインめ!
扉を潜り、文句の一つを男に言おうとした矢先に、ガチャりと首に何かをつけられた。
「陛下、喋ったり、暴れたりしないで下さい」
「………………」
あれ!? 声が出ねぇぞ? なんだよ、この首輪は?
「とあるお方から、陛下が暴れるといけないとのご指示で、絶対服従の隷属輪を付けさせて頂きました」
ふざけるなよ、テメェ! って、コイツをぶん殴ろうとしても体が動かねえ!
「陛下、裏庭の納屋にある隠し通路から脱出しますので、ついてきて下さい」
チッ、まぁいいか。この便所みたいな牢獄から抜け出せるなら。
クソガキ、テメェは絶対にぶっ殺す! それにルミアーナ、生きているのが辛くなるほどの辱めをさせてやるからな!
「陛下、行きますよ」
「………………」
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