2022年上半期ボカロ10選を紹介したい
なのさP
「A」はるふり
ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/watch/sm39924131
YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=L6iXFOErE9s
作詞:はるふり
作曲:はるふり
編曲:はるふり
歌唱:重音テト
まず最初に紹介したい楽曲はこちら、『A』である。制作をしたはるふりは『右に曲ガール』や『浮遊感』など、軽快なギターサウンドとテトオリジナル曲を主な作風としているクリエイターである。2020年に『まるで霧雨のような』を投稿して以降新曲の投稿が途絶えていたが、約2年ぶりに新曲として『A』を投稿し、話題となった。はるふりが久々に投稿したというのも話題の理由の一つになったが、もう一つ理由があった。それはこの『A』という楽曲がとあるボカロ曲のアンサーソングであると考察されたからだ。
皆さんは『Q』という楽曲をご存じだろうか。椎名もたというボカロPが2013年に投稿したボカロ曲であり、現時点でダブルミリオンを達成している。
(『Q』:https://www.nicovideo.jp/watch/sm19898621)
『Q』をはじめ、『ストロボラスト』『アストロノーツ』など、椎名もたは高い評価を得たボカロPであった。しかしながら、彼は2015年に急逝する。そんな彼が残した質問が『Q』なのである。『Q』の中で彼はこのような問いかけをする。
「「今」の忘れ方を
この歌のさ 答えを
明日の歩き方を
僕達に教えてよ」
この問いに対して、9年の時間をかけてはるふりが出した答えが『A』なのである。『A』のサムネイルは、『Q』のものと構成が同じであり、無地の背景に少女のイラストとタイトルが描かれたシンプルなものになっている。実はニコニコ動画版とYouTube版ではMVの構成が若干異なっている。両方を比べてみるもの面白いだろう。
曲調は、はるふりの真骨頂ともいえる軽快なギターサウンドで構成されている。しかし、『Q』と同様にほんの少しだけ暗い雰囲気を纏っている。「明日の歩き方」を求める気持ちがここに表れているのではないかと感じる。曲構成にも『Q』を意識させる工夫が随所に見られる。サビ前の一瞬入る無音などがそれであると考察している。
歌詞にも注目していきたい。こちらも随所に『Q』を意識させるフレーズが使われている。特に注目したい部分として、最後のサビの部分がある。
「きっとこのまま僕たちは
明日も見えないまま歩いていくんだ
きっとこのまま僕たちは
感情も知らないまま抱きしめていくんだ
あの歌の答えを
僕らの一秒を綴っていく」
どちらの歌詞も、先の見えない現実を歌うものとなっている。その中で『A』は、「僕らの一秒を綴っていく」と一つの答えを出している。9年かけて出した答えは、それでもひたすら歩んでいく、というシンプルなものだったのかもしれない。
この2曲、『Q』と『A』はぜひ両方を合わせて聴いてほしい楽曲である。聴く人それぞれの問いと答えがそこにはあると思う。
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