最強の家庭菜園ダンジョン~最強のダンジョンとは準備期間のダンジョンだ。入口がなければ攻略出来ない。俺のダンジョンは永遠に準備が終わらない。畑に終りなんてないからな~
第27話 相談と、貿易と、ナスの味噌炒め
第27話 相談と、貿易と、ナスの味噌炒め
朝からの雨。
天気図を見ると梅雨前線が復活している。
畑の収量も減っている。
夏野菜は太陽が好きだからな。
エイザークの所に繋ぐ。
アルカナも来ている。
「今日も時間通りだな」
エルフとドワーフの所へは毎日決まった時間に繋いでいるのだ。
「相談がある。俺の国では、資格を持っていない治療は法律違反なんだ。治療するのを辞めた方が良いのかな」
「何だそんな事か。この国でも治療は資格が要るぞ。治癒師ギルドが管理している。だが、もぐりの治癒師は後を絶たない」
「どこの国でも一緒か。俺の国でも偽医者はたまに逮捕されるからな」
「もぐりの治癒師は信念に基づいてやっている。大概が安い金でやっているな。金がなくて治癒師に掛かれないで、身内を亡くしたような奴がなるな。死刑にされても良いと思っている。ほとんど罰金刑だがな」
「そんな覚悟でやっているんだ。俺にはそんな覚悟はない。医者に掛かれないで死んだ身内もいない。俺って薄っぺらいのかな」
「戦いの場に立つ奴はみんな戦士だ。覚悟がどうであろうと、偽物だとしてもな。立ってしまったら、後戻りは出来ない。それが戦士ってものだ。逃げたら誇りまで失われる」
「なるほど、もう後戻りは出来ない。逃げたとしても罪は消えない。それに今までやってきた事に対する誇りみたいな物が無くなるのか」
逃げるのが駄目とすれば、俺は服役する覚悟を持たないといけないらしい。
分かったよ。
その覚悟を持とう。
何だかすっきりした。
「よろしいですか。もらったサンプルの詳しい結果が出ました」
とアルカナ。
「話してくれ」
「野菜1つに都市1つ分ぐらいの魔力が凝縮されてます。人間が100マナだとすれば、100万マナぐらいですね」
「野菜1つに1万人分か。ダンジョンから持ち帰るアイテムの魔力はどれぐらい?」
「10万マナぐらいですね」
じゃあ、それほどでもないか。
ノルマの心配はしなくても良さそうだ。
「他にも何かある?」
「それとですね。その野菜を食べた排泄物が、高魔力でして、肥料に適しています。土に撒けば肥沃な大地になるでしょう」
「寄生虫が心配だな」
「それは魔法で排除しています」
「それは思いつかなかった。持ち込んだ野菜が、安全でほっとしたよ」
「経済担当の文官ではありませんが、本格的に貿易すべきだと思います」
「貿易かぁ。魔法しか、こっちに持ち込めないんだよな」
「何が欲しいですか?」
欲しい物ねぇ。
そんな物はないな。
いや、1日ぐらい持つ魔法なら掛けられる。
お守りを作ったらどうかな。
いや物証が残ると不味い。
召喚を使えば購入履歴は残らない。
肥料は召喚できるけども。
これは野菜関係だからだな。
シイタケの栽培キットも同様だ。
どんぐりは虫が出るから、松ぼっくりを召喚してお守りにしようか。
どうせ1日で捨てられる。
ミニ松ぼっくりは300個で2000円ぐらいか。
サービスで配ろうか。
効果は何がいいかな。
「ドワーフの得意な魔法って何?」
「火と土と金属加工と付与だな」
そう答えるエイザーク。
火は、要らないな。
ライターがあるからね。
土は、農業以外に使い道は低そうだ。
付与は魔石次第だが、長く使える魔道具は不味い気がする。
石の壁を防御で出すとかどうかな。
駄目だそんな場面は限られる。
治療はやっているから、恋愛とか、学業とかが良いんだけどな。
「恋愛とか、学業の魔法はどうかな」
「俺達にエルフの真似事をしろって言うのか」
精神魔法の分野なのか。
エルフとの貿易は上手くいきそうだ。
そうだドワーフは屈強だ。
「じゃあ、身体強化は?」
「そこそこ使えるな。戦士なら覚えなければいけない魔法だ」
「木の実に掛けられる?」
「掛けられるぞ」
「じゃあ、貿易はシイタケと身体強化の魔法だね」
「がはははっ、身体強化魔法の訓練になって助かるな。本当にそれでいいのか」
「いいさ。おまけだからね」
貿易もまとまったし、いいことずくめだ。
今日はナスが2個採れた。
このぐらいだと1品で終りだな。
味噌炒めを作るか。
フライパンに油を引く、温まったら、切ったナスを投入。
柔らかくなるまで炒めて、味噌を入れる。
味がしみこんだら、唐辛子を振って、完成だ。
味噌と油の匂いが漂う。
箸で摘まんで口に入れる。
味噌の香りが食欲をそそる。
ナスの汁と油と味噌が混ざり合っていい感じだ。
ピリ辛の唐辛子が良いアクセントになっている。
味が濃いのでビールを飲む。
味噌炒めを食う、ビールを飲む。
エンドレスだ。
料理が無くなる頃には缶ビールの中身も無くなった。
エルフとの貿易はどうしようか。
自然のままが良いと言っていた。
森が必要以上に豊かになるのは好まないだろう。
森の魔力が少なくなった兆候が現れたら、提案してみよう。
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