第13話 水源地の確保。

水源地の確保。


 …………必死にジャングルを掻き分けながら一歩ずつ進んでいる“雅 煌太(みやび こうた)”ことリュードです。


 実は、アリシアとルージェの3人で倒したモンスターがとんでもない奴で、勿論、確かに強かったですよ!実際に甲殻が硬くて剣や刃が通らなかったですから。


 更には三日月の様な研ぎ澄まされた刃の触手を3対も備えた巨大な大蛇ですし……。


 それを何とかアリシアとルージェに無理を言って触手の1対を片方ずつ関節部分から斬り落としてもらう事に成功し、私が残りの触手の刃にキュア…ああっと私の魔銃ですが……銃弾を跳ね返らせて口の中を狙い、即頭部を吹き飛ばすなどとチートをしたものですから、みんな信じられないといった感じに………。


 わ、私だってヤるときはヤるんです!たまには格好いい所を………って、ダメですか?……リュードです……。


 で、でね、まずはそのモンスター、デスムーンサーペントと言う名前だそうですが、処理をどうするかと考えた時に最上位のモンスターと聞いたので、もしかして素材にならないかな?と思い、皆に話してみると4人ともビックリでした。


 でも、直ぐに納得してくれてサリーナの地下室の倉庫の方へ転送して確保してくれました。


 解体職人にも、心当たりがあると言うので任せることに。ただ…その肉は霜降りのいい肉だそうで、残りの一部を街の人達に振る舞って欲しいとサリーナ達に話しました。……いや、単なる私の自己満足ですが、色んな何かの形で街の人達にお詫びしていかなくては……と……、それで気がはれる訳ではないとは思いますがそうしたくて……自分勝手ですよね……。


 バルジオ達も何とか資金調達をしてくれている様で助かります、相変わらず私が領主に……と言う不安が有りますが、頼もしい限りです。でも驚きましたよ!あの宝石を3つに分けるなんて発想。流石はバルジオ宝石商、商売となると色んな知恵が出るんですね。他の事でも知恵を借りる事もあると思うので、バルジオもサリーナも頼りにしています。


 そして、無事にモンスターの残骸を残すことなく処理出来たので、水源地探しの続きを再開した訳です。


 するとアリシアが突然何かを感じて耳を澄まし、奥の方で水の音が聞こえるとなったので休みたい所でしたが、そのまま樹海の中を進む事に。


 


 そして私達が道を作っているかの様に茂みを切り分け、地面を少しずつ踏み固めて歩き、木々を通り抜けて行きました。確かに近くになるにつれて、水の音が段々と大きく……いや、巨大になっていく感じが……この音って…まさか?と思いつつ開けた場所に出たんです!


 


「おおっ!」


 


「……凄い……!」


 


「これは見事だな……!」


 


 3人とも感嘆の声を上げていました。そこはもう巨大な岩山で、20m程上の山肌に穴があり、そこから滝が流れ落ちて地面に溜まり直径15m位の泉になってました。誰も人間が来て居ないのか、その景観は岩山に日の光りが反射して水面を照らし澄んで美しく、暫く見とれていました……。


 


「…やっと見つかったな。それにしてもアリシア凄いな、あそこからの距離で滝の音を聞き分けるなんて。」


 


「はい!鼻と耳には自信があります。」


 


「ああ、成る程!そうか、それもそうだね。」


 


「そのお陰で良い場所を見つける事が出来たな。」


 


「はいっ!ルージェさん突然ですけど、水浴びしませんか?」


 


「へ!?水浴び?」


 


 急にそんな話が出たのでルージェも驚いてます。


 でも、この辺で休憩を取らなければ3人とも参ってしまうでしょう。


 


「よし、1度休憩にしよう。と言うか、ここで野宿だな。」


 


 私がそう言うと2人は気が抜けたのか、安堵してました。


 


「やたっ!休める。」


 


「そうだな、だが余り気は抜けないな。」


 


 2人は、倒木に腰掛けていました。


 


「ここを拠点として、動こうと思うんだけどどうかな?更にはこの滝を起点にして街を創りたいんだ。」


 


 私がこの場所を一目惚れしたので、そうしたいと思ったまでですが、彼女達の反応………?


 


「そうですね!それが良いと思います!」


 


「私も異存はないな、こんな素晴らしい滝のある街なんてまず見付からないだろう。」


 


「良かった2人に認めてもらえて。」


 


 私はホッとしてました。


 別の場所を…と反対されたらどうしようかなと。


 


「それでさ、街を創る際には私達がこの滝を独り占めする訳にはいかないから、何ヵ所か別に溝を作って街の外側にも水源を作り、モンスター達の飲み水としたいんだ。」


 


「え、モンスターの為に……ですか?」


 


「それは危険じゃないのか?」


 


 2人が驚きと不安を隠せないで居ます。そう考えるのは妥当だと思います。


 ですが、想定外の発想をしてしまうのが私な訳でして……。


 


「勿論強固な外壁を作って街への侵入は防ぐし、街の外側に樹海があってモンスター達が生息しているとなれば、そう易々とは敵も攻撃して来られないだろうし。その為には水源を分けてあげないとモンスター達も生息出来ないしね。」


 


 そう聞いて2人は納得してくれました。


 


「フッ、リュード殿らしいな。」


 


「そうですね、リュード様位ですよこんな大胆な発想が出来るのはww」


 


「済まない、毎回無理難題を言って。こんな馬鹿げた私についてきてくれるかい?」


 


「当然です!私はリュード様に嫌われようとついていきます!」


 


「……はは、嫌いになんてならないよ。むしろ嬉しい位だ、ありがとうアリシア。」


 


「リュ、リュード様……♪」


 


 顔を赤らめてうつ向いて、両手の指を絡ませてモジモジしてます。やっぱり可愛い……コ、コホン。


 


「私だってついていくぞ!主に使えるのが騎士としての役目でもあるし、それに……。」


 


 彼女が途中で言いかけて頬を赤くして下を向いてしまいました。


 


「それに?」


 


「なっなんでもないっ!兎に角私もなんと言われようとリュード殿に着いていく!」


 


「そっか……ルージェもありがとう。」


 


 彼女も更に顔を赤らめて下を向いてしまってます。


 ほんとに2人とも美人だし可愛いし……良いんでしょうかね、私の僕で…い、いや、もう離しませんよ~!ダメですからねww


 


 まずは理解して貰えたので一安心です。


 


「さてと、泉のほとりに小屋を作るとするかな。」


 


 私がそんな事を口にしたので、2人が驚きを隠せないで居ます。


 


「こ、小屋が創れるのか?」


 


「スゴい!ここで屋根の下で寝られると言うのですか?」


 


「はは……作りは期待しないでくれよ、素人が作る物だからね。」


 


「そ、それは大丈夫なの……かな?」


 


「あ、ははは、勿論屋根が落ちない程度にはね。」


 


「私は信じますよ、リュード様は想定外ですし。」


 


「え?想定外?」


 


「い、いえ、なんでもない


ですわ、ほほほ……。」


 


「ほほほ………。」


 


 2人の含みのある笑いに疑問を感じつつも、日が暮れても困るので早速取り掛かる事にしました。


 幸い回りには大木だらけです。まあ、成長過程で曲がったりしている物もありますがその辺は臨機応変に。


 まず爪を伸ばして剣とします。そして、良さそうな大木を根元から斬り倒して枝を払い、先端と終わりの一部を爪でくり抜き1本ずつ重ねる様にしかもL字にクロスさせながら重ねてはめ込んでいき、足りなくなったら木をまた斬り倒すと言う繰り返しを続けました。


 1ヶ所には扉を、1ヶ所には窓を、屋根はそのまま上に丸太を並べて2段重ねにして無勾配?の屋根に。梁を作って三角屋根……とかはまだ私には無理なのです。何とか形にはなったかな?5m四方で天井が3m程の高さの建物が完成しました。小屋の周りを尖った杭を何本も作り、蕀の様に地面に突き刺して並べ、周りを囲いました。寝てる時に襲われても困るので……。


 小屋の中は中央に焚き火が出来るようにし、その天井を1ヶ所くり貫いて煙を逃がす様にしました。あと、プロの大工じゃなくて大二(だいに)位の腕しかありませんが、木のベッドを3つとテーブルと椅子を作りました。形は……聞かないで下さい……私なりに頑張ったんです……。


 後は灯りだけど……松明を作るのも1つだけど……持続させるにはもたないし……。


 ああ、2人に聞いてみようか。何か方法を知ってるかもしれないな。


 私は、2人の所に向かいました。水浴びをしている筈なので……。


 


 ……………!?!?!?


 えっ、あっ、うわっ!ちょっ!ちょっと待てっ!あ……あ……あ………。


 あの……私はどうしたら良いのか、その場に固まっていました。あられもないお姿の天使がお二人……気持ち良さげに水浴びを………ダメだ、悩殺ポーズの連続攻撃が……ぐふうっ!


 私が倒れた音に気付いた2人が慌ててモンスターと思い、ルージェは岸に置いてあった剣を取り、アリシアはクローを装備して身構えました。


 


「あ………?」


 


「え………?」


 


 気付いてくれた様です。私は悶絶状態でしたので、小屋のベッドに運ばれて寝かされるまで気付きませんでした。


お恥ずかしい限り……。


 


「リュード様……リュード様。」


 


「う……う~ん、はっ!え~っと、ここは……?」


 


 私はアリシアの膝枕で介抱されてました。


 


「リュード殿の作った小屋の中だ。立派な丸太小屋が出来たものだな、大したものだ。」


 


「いやぁ、仮設とは言え大雑把だろう?」


 


「そんな事ありません、これならそう簡単にモンスターも襲ってこれないでしょうし、拠点としては申し分ないかと思います。」


 


「そう言ってくれると助かるよ。」


 


「さっき魚を捕って来たんだ、焼けた様だから食事にしないか?」


 


 ルージェが焚き火に炙っていた魚を、いつ作ったのか木の皿をテーブルに並べて1尾ずつ乗せてくれました。香ばしい匂いが小屋中に広がります。


 


「確かに良い匂いだね、食事にしようか。」


 


 そうして持って来ていた食糧と合わせて夕飯となりました。そうなんです、もう日も暮れて夜になっていました。月明かりが泉の鏡を覗いている様で、満月が自身の顔の美しさを確かめてました……。


 ベッドには枯れ葉を沢山集めて上に敷き、布を掛けて柔らかさを作りました。気休め程度ですが直接の板の固い状態よりは幾分ましかと。


 彼女達が、それでも喜んでくれたのが何よりです。


 焚き火を絶やす訳にもいかないので枝を足しつつ、私が番をして2人に休む様に言ったのですが交替で休もうと言ってくれました。


 


「そう言えばサーペントは倒したのに小型モンスターも出て来なかったですね。」


 


 と、アリシアが疑問を口にしました。


 


「そうだな、確かにあれから此処に着くまで遭遇して居ないな……。」


 


 ルージェも、思い返してました。モンスターと言えるモノに遭遇して居ないんですよ、ほんとに。


 


「う~ん、サーペントが居なくなった事に気付いていないかな?それとも……。」


 


 私は2人と顔を見合せて、まさかね?と同じ事を想像した様です。でも今の内に休める時に身体を休んでおかないといざという時にスタミナが持たない可能性もあります、まずは2人に寝てもらう事にしました……。


 え?寝てる時に私が襲うんじゃないかって?いえいえ、とんでもない!もう生唾を呑み込むだけで我慢我慢です!これでもまだ自制心があります、焚き火に集中っと……。でもまあ、私にすると美女2人を目の前にして……これって“蛇の生殺し”って言いますかこれ?


 まあ、本物は確かに倒しましたけどね…………ww

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