第11話 緑陰

緑陰で猫又と狸が涼んでいた。人魂は、ベンチの陰でぼんやりしている。彼らの話では、豆腐小僧は清水の湧く山中に引っ越し、夏は山小屋で豆腐を、真冬は高野豆腐を作っているという。見聞きしていないフリで、炭酸飲料を飲み干して、炎天下の路面を見やる。立ちのぼる陽炎に、人面の蝶が戯れていた。

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