【完結済】ふたりの愛らぶyou【上】

三愛紫月

やってきた隣人

るい、ちょっとは構ってよ。」


「真子ってダルいよなー。」


「やることなんて、家にいるだけでつまらないし。」


「男と女なんか、やる事一つなんだから、金もったいないだろ?真子だって、それ言ってただろ?」


「そうだよ。だけどさ。結婚は?」


ピンポーン


「悪い、誰かきたから」


俺は、玄関に行った。


ガチャ…


「はい。」


「あ、あの、隣に越してきました。矢吹星やぶきひかると言います。宜しくお願いします。」


女みたいな顔してる。


「あ、橘月たちばなるい。宜しく」


「これ、引っ越しのご挨拶に」


「何、これ?」


「ゆで卵です。」


「ゆでたまご?はっ?意味わかんないんだけど」


「あっ、すみません。」


目を伏せた瞬間。


胸が締め付けられた。


「もらっとくよ。」


「はい、20個です。」


「いや、意味わかんない。」  


「3個ぐらいにしますか?」


悲しそうに見つめてきやがる。


「いや、全部もらっとくわ」


俺は、ゆで卵を受け取った。


矢吹さんは、去っていった。


俺は、扉を閉めた。


るい、誰だった?」


「あっ、お隣さん」


「へー。壁薄いのにね。」


そう言って真子が俺に近づいてくる。


「なに?」


「お隣、男なんでしょ?」


「そうだったよ。」


「じゃあ、いいじゃん。聞かせようよ」


「はっ?やめとこーぜ。」


あいつに聞かせるって、考えただけでなぜか胸が苦しくなる。


「なんでよ、今までの隣人は普通に聞いてたわけだよ。」


「たしかに、そうだけど」


真子は、俺に近づいてくる。


隣の部屋の壁の近くにきた。



バンッって真子が壁を叩く。


えっ?


「さっき言ってたじゃん。男と女なんかやる事一つなんでしょ?」


そう言ってキスをされる


チュッてわざと音を立てる。


「あー、真子。今日はやめよう。帰ってくんない?」


「なんでよ。」


「ズボン脱がそうとするなよ。そういう気分じゃないから」


俺は、真子の手を払いのけた。


「乗り悪くない?いつもなら、したでしょ?」


「それは、今回初めて隣人に挨拶されたからさ。」


「なに、それ」


また、近づいてくる。


「だから、今日はなしだって」


「じゃあ、いつするの?」


「また、連絡するから。な、ごめん」


「もういい」

真子は、怒って出ていった。


バタンッ、強く扉が閉められた。


アー、何なんだよ。


この気持ち。


わけわかんねーよ。


ただ、あいつに嫌われたくないって思ったんだよな。


あいつ見た瞬間、心の中の何かがハマった気がしたんだよな。


俺は、布団に寝転がった。


何なんだよ。


マジで…。


今日いれて三日も休みとったのに…。


真子と毎日イチャイチャしようって決めてたのに…。


急に引っ越してきて、急に挨拶してくんなよな。


起き上がって、机の上のゆで卵を見つめる。


何で、ゆで卵?


謎なやつだよな。


俺は、ゆで卵を剥いて食べる。


もう、真子とも終わりになるのかな?


ゆで卵、うまっ。


せっかくの連休だったのにな。


後、2日何しようかな。


わかんねーな。


ゆで卵、また剥いてしまった。


喉乾いた。


水でゆで卵を流し込んだ。


でも、あいつ女みたいな顔してたよな。


ビックリしたわ。


あんな男いるんだな。


俺は、布団に横になってスマホを見てる。


隣に、あいつがいるって思うだけで集中できないわ。


俺、30だよ。


恋愛対象は、全部女だったよ。


絶対、おかしいわ


寝よう


寝て忘れよう


俺は、眠った。

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