第4話


「この後の予定は?」

眼鏡の男性の問いに窓の外を少し眺める。

勢いは益々強くなり道路を川のように薄く濃く着実に満たしていく雨に幾らかの諦めと大義名分を掛け合わせる。

ここはもういい。気力が湧かないのだ。

ずぶ濡れはともかく例え傘をさしてでも

あの黒い世界に再び立ち歩き出す様を想像できなかった。

「四コマが必修なんですけど。」

休みます。と繋ぐと男性は

「じゃ。いいかな。」

と言うとにっこり微笑み奥に下がった。

同時にやって来た彼女からタオルを受け取る。

「自分でやるんで。大丈夫です。」

幾分納得はいかなそうだったが側のテーブルから注文が入ると僕の存在など始めから無かったかのようにするりと世界を変えた。

タオルは白くふかふかで頭から順に上半身を拭き終わるとしばらく顔を埋めた。

違う世界の違う自分のような気がした。

雨はいつから降っていたのだろう。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る