第5話 発覚
見始めてから数時間程経ち、ご飯も食べ終わって今はお菓子を食べながら視聴している。物語もそろそろ中盤に差し掛かろうかと言うところ、春に始まった2人の共同戦線も季節は巡って秋になっている。
1話を見終わり、次の話に移行する。するとすぐにopが流れ始める。今回はアバンタイトル――op前の短い映像や前回の粗筋のこと――が無かったようだ。雪の宿を食していた事も相まってopをスキップするのを忘れていた。
「ああ~op始まっちゃった~。もうこのまま見るか~」
隣から咲季の落胆する声が聞こえる。最初の数話だけopとedを見ていたが、その後は時短のためどちらもスキップしていた。
曲が始まっても飛ばせば良いと思うが、謎の中毒性があって1度歌詞が流れたら見続けてしまう。と、先程咲季が呻いていたのを思い出した。
「この曲好きだけど、いや好きだからこそ聞き始めたら止まれないというか、中毒性高いよね~」
「まあ分るよ、俺も似たような経験あるし。『プレパラート』って聞こえたらもう無理だよね」
「確かに~。誠は何の曲が飛ばせなかった~?」
「ノゲノラのThis game」
あの曲は何よりも前奏が好きだ。アニメ版だと短縮されていたがフルバージョンだとさらに長くてずっと聞いていても飽きない自信がある。
「あ~あれも良かったよね~。でも私的には”先輩がうざい後輩の話”のopが1番飛ばせなかったな~」
「あーあれも出だしのインパクトっていうか勢いが良かった……よ……ね?」
「ん? どーしたの?」
「……なんでその曲知ってるの? まだアニメやって無くない?」
その曲のアニメはこの時代ではまだ放送されていないはずだ。俺は大学生の時に見たから知っているけど、咲季は知るはずも無い。
「っ!? ええっとね~それは~その~……」
右に左に目を泳がせ、しどろもどろしている咲季。そんな彼女を見つめているうちに、1つの仮説がピンと閃いた。
もしかして咲季も……。
俺がタイムリープしたときから当時と色々変わっていたが、そういうことなら納得できる。
「……なあ咲季。咲季はいつの時代から来たんだ?」
「!?」
俺の言葉に動転したのか、咲季は目を丸くしていた。
ひとまず本編の始まったビデオを停止して、咲季の言葉を待つ。
しばらくして、咲季が右手を伸ばして、俺の左手にそっと添えた。左手を反転させると、指を絡めてきた。恋人繋ぎ、というやつだ。
出掛けるときや落ち着きたいときには、よく手を繋いでいた。
そしてゆっくりと、咲季は言葉を紡いだ。
「私は……」
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