第十二章 第4話
――一目見ただけで、気付いたよ。沙紗が何者なのか。
この国では、わたしにしか気づけぬことだ。恐らく
わたしは適当な理由をつけて沙紗を
暗雲が立ち込めたのはその頃からだ。
わたしに尽力できたのは、
そうして
だが結果として
そう、だな。そろそろ、
わかっていよう……
だが、耐えてくれ。そしてこの国の。いや、この世界の……
「――――
呼ばれて、
「……確かに、承りました。
かつて北の大地に、
王には、神から国と同時に与えられたものがある。
それは――神の、
かつて神が彼の地よりこの世界へ到来し、そうしてこの世界を創造した際の
その知識は、王から王へと。脈々と引き継がれてきた。
……それまで王であった者の、記憶と共に。
王に、「個」は存在しない。
なぜなら、王とは。
神から
だから本来であれば。
けれど莉恩に、記憶は蘇らなかった。そうして今も、全てを思い出したわけではない。在るのはただ、膨大なまでの神の
「かつて……」
「かつて……了王は、
――いつか了王の記憶と知識を引くことになるであろう、莉恩に。かつての了王が犯した
そして彼女は……恐らくそこで、命を落とした。
――今、莉恩に。
王としての記憶が戻らないことは。
了王の罪を
それとも。
神の更なる怒りを買ったため、なのか。
「私には……もう。守るべき民も、国も。ありはしません。ですが……」
そうして
「この世界に生きる人達、皆が幸せでいてほしいと。そう、願わずにはいられないのは……これは……」
「それが……王の
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