詩・歌・句の欠片

久里 琳

1 俳句(夏)


詩をつくろうと思いたって、はじめにつくったのは、俳句でした。



 天に陽を恋ふや薊の果てぬ夢


 夕顔や主なき家に猫の声


 浴衣すずし彦星まつや俄か雨



<読み>

てんにひを こふやあざみの はてぬゆめ

ゆふがほや あるじなきへに ねこのこゑ

ゆかたすずし ひこぼしまつや にはかあめ





以下、蛇足ながら。


詩をつくろうと思ったきっかけは、カクヨムで交流している方が何人か、つくられていたから。

それまで私は、詩は読んでもつくるものとは捉えていませんでした。ただ、文章修行に詩は有用だとは思っていました。

言葉のセンス、リズム感、世界を見る目と心、等々。散文を書くにもご利益があるにちがいない――というわけで。本気で詩作に取り組んでおられる方には、申し訳ありません。

でも、いまは詩をつくるのがたのしくなっています。(ですので、最初に不純?な動機ではじめたのは、大目に見ていただければ、、と)


 ***


たいてい詩というものは贅言を戒め、一語を以て百景を想起させるを佳としますよね。十七音で表す俳句となれば、その最たるもの。言葉の表さない分は、読む側が想像で補うことになります。

それでいいのですが……蛇足ついでに書いてしまいます。私に浮かんだ情景は――


・草ぼうぼうのなか、頭ひとつ抜けて咲く薊。まるで、だれより太陽に愛でてもらおうとがんばって背を伸ばしたみたいに。


・荒れた空き家からのんびりした猫の声。夕顔が揺れる下にやすんでいるのか。


・にわか雨に浴衣は濡れて。女の子はいずれ彼氏と落ち合うのだろうけど、天の織姫の方は待ちぼうけになってしまうかも。雨よ、はやくあがれ。


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