第5話 キケンな反省会♠️

 ……あ、こんにちは、先輩。

 

 すみません、またこの第二図書室まで来てもらっちゃって……。

 メール、見てくれたんですね。

 ……はい。メールに書いた通り、お話したいことがあって……。


 あの、ですね……。

 えーと、その……。


 ……き、昨日はすみませんでした!

 わ、私、なんだか興奮しちゃって……。いつもはそんなことないんですけど、昨日は頭に血が上っちゃったっていうか、冷静じゃなかったっていうか……。

 とにかく、先輩に失礼なこと、いっぱい言っちゃいました! 本当にごめんなさい!


 ……え? 謝らなくていい? 自分がなにか、気に触ることを言ったんじゃないかと思ってる、って……?

 先輩……、私が言うのもなんですけど、人が良すぎますよ?

 私、先輩きっと怒ってるだろうなって、昨日あれから一睡もできなかったんですから。 

 もう。私の貴重な睡眠時間、返してください。


 ふふ、冗談です。

 ……でも、本当にごめんなさい。私のわがままに付き合ってもらってるのに、あんなこと言って……。

 ……え? わがままというか、脅迫? ドレイ契約じゃなかったか、って……? 

 そ、そうでしたね! 慣れないものですから、つい……。


 あはは、なんか変ですね。

 でも、先輩が怒ってなくて、本当によかったです。

 

 ……え? むしろ、昨日の最後の方は、きちんとご主人様できてた気がする?

 普段の弱気な感じと違って、なんだかゾクゾクした……?


 ……先輩、もしかしてMなんですか?

 そんなことない? 自分はいたってニュートラルだ? 

 ……本当かなぁ。



 ドM。

 変態。

 風紀委員長のくせに、後輩の女子にののしられて、興奮しちゃうんですか? 本当にダメな先輩ですね?



 ……肩が震えてますよ? やっぱり反応してませんか?

 してない? 

 本当かなぁ……。


 ……え? もっと言い方に緩急をつけると良い? 

 甘やかすように優しく罵倒した後で、一気に氷点下の水に突き落とすように、冷たく拒絶するのがいいんだ、って……?

 ハァ……。私、先輩という人を勘違いしていたのかもしれません……。


 ……。

 ……でも、もしかしたら、自分自身についても、勘違いしてたのかも。

 先輩のことなじってると、なんかその、胸の奥がゾクゾクしてくるっていうか……。

 ……なんなんでしょう、この感じ。

 

 ……え? 君って実はけっこうSなんじゃないか、って? 

 わ、私がですか!?


 だって私、人の悪口とか言うの嫌いですし、イジメなんか最低だと思うし……。

 ……え? SとMはそんな関係じゃない? 

 一方的な関係じゃなく、お互いを認めあい、尊重しあう関係であるべきだ?

 ……本当、何者なんですか、先輩?


 ハァ……。まあいいです。

 ……あ、そうだ。今夜も、連絡していいですか? 

 えへへ。ありがとうございます。



 ……ねぇ、先輩。

 今夜も、3スリーコール以内に出なかったら、『お・し・お・き』、ですからね……?


 ……。

 やっぱり肩、震えてる……。


 ……ほんと先輩ってば、Mなんだから。

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