世界の十字路2~守護する獣の街~

時雨青葉

プロローグ

少女の怒り



 力は、なんのためにあるの?





 人を幸せにするため?



 いいえ、違う。

 力は、私を幸せにはしてくれなかった。



 力が生むのは、果てしない飢餓と絶望だけ。



 力なんて、私はいらない。

 心からそう願うのに……どうして私の周りの人たちは、貪欲に力を求めてしまうの?



 お父さんも、お母さんも―――あの人も……



 誰も、私の本当の気持ちに気付いてくれない。

 私が欲しいのは、そんなものじゃない。



 私から全てを奪っていったくせに、まだ奪い足りないの?

 真っ白だったあの人まで、私の嫌いなものに染めていってしまうの?



 もう嫌。

 これ以上失いたくない。

 大嫌い。





 ―――――力なんて、大嫌い!!




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