第13話悪魔の存在
テファリーザ王国の本国の地下都市、実験場で漆黒の
「エビル室長誕生おめでとう、君達のお陰で巨人型の生産に
「ハザン様、我々は創造主の研究の過程で生み出されたもの、いつでも用がおありならお呼びください。悪魔の人造人間として身命を投げうってお役に立ちます。クリス様もマリア様もようこそ、本国においで下さいました」
「これは僕の記憶にはないものだね、お父さん達が新しく礎を築いたのかな」
「私も初めて見る。魔法薬を血管の様に張り巡らせてあるのね、薬液に浸した布と外骨格、情報処理もかなり凄いものだわ」専門家の様に三歳児の双子は答える。
「さすがでございます、クリス様とマリア様もう記憶と経験値を発揮されております。このアイクル最後まで付き従う所存であります。さあ、本国の住民に挨拶をされてはいかがですか、悪魔の人造人間は性能が良すぎますね、全く新しい種族ですが適応力は凄まじいものです。テファリーザ王国の本国の新たな歴史が始まったと言っても過言ではありません」
「ハザン様、悪魔の人造人間の製造は完成されています。後で資料をお読みください。次世代の人造人間として本国でも優遇措置が取られています。獣人の強化種などにも応用が広がっています。竜戦士も蜘蛛のメイドも処置を受けて、更に進化しました。根底にあるのは代々の当主の研鑽ですが、外大陸を介することによって、更に加速しました。我々悪魔が内容を加えてもよろしいですか?随分手は入れましたが、まだ時間がかかります。クリス様とマリア様の巨人型の製造にも取り掛かろうと思います。よろしいでしょうか?」
「エビル室長、君達の功績は計り知れない、資料を見たがだいぶ特異な進化を遂げているね。頭脳明晰、腕力も竜戦士に劣らない。新たな世代の進化だろう。クリスとマリア今の内に本国を見に行ったらいい。アリアがもうすぐ不安になるはずだ。挨拶して来るといい、それと瞼に魔法薬を塗り込むのを忘れるなよ」
「はいお父さん、お母さんが心配する前に戻ります。マリア行こうか?」
「お兄ちゃん、私は巨人型の色は赤色が好き、お兄ちゃんは青でいいじゃない?」
「そうだね、僕も青がいいかな、エビル室長お願い出来るかな?」
「見解に沿うように努力します。完璧に仕上げてしまうのでご安心ください」
「うん、よろしく、アリア本国の皆に顔を見せて行こう」
「わかったわ、じゃあお父さんまた後で」
二人は
「私も案内して来ます、ハザン様、特別機の調整はお気をつけて大量の情報処理が必要なのは適正者だからです、では失礼します」アイクルも双子を案内するために消える。
「さて、この巨人型『
「こちらこそ、ハザン様、強化種は戦闘能力も上がっているのでご注意ください。では私達は特別機の調整に戻ります」恭しく礼をすると、きびきびと他の悪魔の子と動き出す。
「さてアリアを心配させてはいけない、クリスとマリア、お父さんは先に戻るぞ」
「はいお父さん、僕達は部屋で遊んでいることにしといて」
「はいお父さん、お兄ちゃんと遊んでいる」
僕は本国から仕事部屋に転送されて、シズがお茶を入れてくる。
「お子様は部屋で遊んでいることになっております。お仕事の方はもうお済ですね。もうすぐ、アリア様がこちらにすぐご様子を見に来られます。クリス様とマリア様をお探しのようですね」
「ありがとう、シズ。まだ心配性だからな、呪われ子の運命を聞いて驚かなければいいが……」
「アリア様もハザン様の子供産んだ身、信じてもいいと私は思いますよ」
「そうだな、シズはまだ結婚しないのかな?いつでも祝福するよ」
「私達は寿命が長いですから、ハザン様もエビル室長が存在できましたからそういう調整が受けられるようになりますよ」
「画期的な進歩だな、アリアの研究も命じておくか―――」
扉が開いてアリアが入ってくる、「あなた、子供達見なかった?部屋で遊んでいると思うけど、少し心配で……」
「アリアは子供達が好きすぎるね、部屋で遊んでいたから心配いらないよ。カイトも部屋で読書中だから、あの子もセイラに似て頭がいい。将来有望だよ」
「私達の子供達も良すぎるわ、見る本全部吸収していくもの、あなたの後継者として相応しい教育をと思っているけど、心配いらないわね、クリスは頭脳明晰で運動神経もいいし、マリアはお裁縫も料理も上手なのよ、母親として教えることがないくらいよ」
「アイクルもシズもガダンも色々教えているからね。もちろん父親の僕も教えているよ。二人によく似たみたいだね、心配せずセイラとお茶でも飲んできたらどうだい?」
僕はにこやかに母親同士の会話を進める。
「僕も行くお母さん、甘いものが食べたい、カイトも連れて行こう」
「お兄ちゃん、お母さんに甘えないの、カイトも静かに本を読んでいる方が楽しいのよ」
アリアの足元から子供達が出てくる。
「クリスもマリアもいい子ね、部屋で遊んでいたの、庭園の方へ行ってみましょうか?シズお茶を入れてくれる?子供達にお菓子も用意してね」
機嫌がよくなるアリア、二人を抱き上げると微笑み笑顔になる。
「はい奥様、外大陸の果物を使ったケーキを持って行きます、しばらくお待ちください」
シズは礼をして調理場の方へ歩いて行った。
「お父さん僕達変わりない?」
「お父さん私達の服似合っている?」
「ああ、良く似合っているぞ、子供はすぐ大きくなるな、必要なものがあれば言いなさい、何か欲しい物はあるか?」
眼を確認すると普通の目だ。これだけは目立つので気をつけなければいけない。
「僕は新しい弓矢が欲しい」「私はお人形作るから材料が欲しい」
双子は可愛らしくねだって来る。
「お母さんが教えてあげる、ハザンの血を引いているからか、マリアのお人形生きているみたいなの、懐かしいわ、二人で住み始めた時に部屋に飾っていたのよ、クリスの弓矢の腕もいい腕だわ、ハザンの猟師の腕かしら、今から楽しみね」
アリアは二人の手を引いて部屋から出る。安心して仕事机に置いてあった資料を見る。悪魔の生態について詳しい情報が記載されていた。遺伝子情報もある。外大陸の影響は思った以上に収穫だったようだ。レイド監督官とエリザ監督官から、車両の技術の提供の打診が来ている。問題ないはずだが、片隅に立っているアイクルに尋ねる。
「アイクル、両大国の国力の分析は終わっているな」
「はい、旦那様、まだ時間がかかりますが予定は二年後になっております」
「我々テファリーザ王国の復活は近いか、独立運動も水面下で進行中だな、いいように利用させてもらおう。我が子のために、本国のために」
「強化処理も実用段階ですので完成を急がせますか?」
「いや、時間はまだある、それまで両大国の目を引きつけておかないといけない」
「車両技術など大国の広さを考えるとまだ時間がかかります。ご安心ください」
「わかっている、悪魔の存在の発生により随分寿命も延びるはずだ。この技術は慎重に行きたい。後の世代の命運がかかっているからね」
不敵に微笑む。数十世代の記憶と経験値を受け継ぐ人外が更に上を目指そうとしているなど、両大国の国王でも予測はつかないだろう。
子供達の笑う声が庭園から聞こえる。大事な家族だ。アリアにも真実を知って欲しい。そして子供達も幸せになって欲しい。父親として当たり前の感情に揺れる。
「テファリーザ王国の本国の皆も守っていかなければいけないな」
「ハザン様のお気持ちが嬉しいです。本国の住民も同じ気持ちです」
カイル家族にもこの気持ちが伝わればいいと思う。大事な親友だ、最後まで行動を共にしたい。セイラもカイトも同じように、許されれば強化処理を受けて欲しい自分がいた。
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