第15話 怪しげなG/機械鎧の男
「劉生市B地区7番エリアにて、ドレードの波長を確認」
「ガルガウズシステム、出動準備!」
「了解です!」
警察署所属特殊防衛班対ドレード部隊の神田は、芹沢の指示を受け、即座にシステム装甲を装着する。
「頭部、胸部、腕部、脚部、全て正常です。ガルガウズいけます!」
「神田君、行ってきなさい」
「わかりました。ガルガウズ、出撃します!」
ガルガウズを装着した神田は、大雅たちのいる幽霊屋敷に来ていた。
ちなみにガルガウズとは、警察がドレード―――大雅たちの遭遇している怪人たちに対抗するために秘密裏に開発された、超強化パワードスーツだ。
以前も、ガルガウズによってドレードが討伐された例があり、神田は装着者としての功績をしっかりと積んでいた。
そんな神田は、幽霊屋敷の捜索のために武器を装備する。
『シグマブレード装着しました。安全装置を解除します』
『神田君、気を付けてね。相手はまだ道の部分が多いわ。何をしてくるかわからないのよ』
「わかっています芹沢さん。でも、芹沢さんの開発したガルガウズなら、大丈夫ですよ」
ガルガウズは、神田の通信相手の芹沢が、アメリカに留学中に単独で開発したものだ。一時は、戦争の兵器に流用されそうになったが、日本政府の必死の交渉によって、ドレード討伐にのみ使用されるようになった。
「現場に到着しました。今から突入します」
『熱源反応を検知。生命反応が7。詳細不明が2。ドレードです』
『ガルガウズ、出撃!』
「了解」
ドゴン!
神田は、ガルガウズに搭載された【圧縮気弾砲】を使い、扉を吹き飛ばす。最初は普通に開けようとしたのだが、上手くいかず、強行突破に出たのだ。
『敵戦力2体確認。神田君、くれぐれも任務を忘れないように。優先事項は子供たちの保護よ』
「わかっています。芹沢さん」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺が怪人態になって、困惑している中、さらに困惑を生み出す存在が現れた。現れたのはおそらく人間で、見た目は機械の鎧をまとっている感じだった。
全体的に装飾は赤で統一されており、近接戦に特化したかのように、スレンダーなデザインだった。
「豁サ縺ョ驥」
「まずい!」
俺は、怪人の手から出てきた針を弾く。こんなぽっと出のやつにかまけてる暇なんかねえ!
俺は、すぐさま怪人に殴りかかる。
『仲間割れ?』
「わかりません。どうすればいいでしょうか?」
『現場に任せるわ。ただ、子供たちの保護を優先してもらいたいけどね』
「……僕も戦います!」
『そう言うと思った。取り敢えず、どっちを先に攻撃するの?』
「じゃあ、ハリネズミのような頭をしているドレードを先に攻撃します」
『わかったわ。宇田君』
『わかりました。ガルガウズ、照準システム、対象に合わせました』
俺が、怪人と殴り合っていると、機械鎧の人間は、銃を取り出して怪人に向かって撃ってくる。
機械鎧の銃は、連射性が高く怪人を蜂の巣にしていく。
『装弾分200、90%命中。熱源確認。討伐できていません!』
『神田君、気を付けて!』
「え?なっ!?」
連射が終わった、機械鎧のもとに煙の中から怪人が、突進してきた。その勢いで機械鎧は、後方に吹き飛ばされる。
『背部損傷。バッテリーユニットが損傷。行動制限がかかります!』
『神田君!』
「大丈夫です!僕はまだやれます!」
機械鎧は誰かと会話をしているのだろうか?一人でなにかを言っている。
まあ、関係はない。俺は、目の前の敵を倒すだけだ。
『シグマブレードを使いなさい!』
「わかりました。ガルガウズの安全装置も解除してください!」
『ガルガウズ、安全装置解除。実用行動可能時間は約1分。そこから5分は動けないわよ』
「了解しました」
『安全装置オフ!ガルガウズ全出力の上昇を確認。システムハリアー開始します!』
機械鎧が剣を握って立ち上がった瞬間、空気が変わった。見ている感じ、鎧の温度が急激に上昇しているのだ。
すると、次の瞬間、機械鎧はものすごいスピードで怪人に斬りかかった。しかし、怪人にはしっかりと動きが見えていたのだろう。受け止められてしまった。
しかし、機械鎧は諦めずに鍔迫り合いを継続する。
「なんだこいつは……今までのやつと全然違う……」
「お前、人間。我々は粛清対象としていない」
「粛清?なにを言っているんだ!」
『神田君、落ち着きなさい!いったん距離を取って!もうすぐクールタイムよ』
突然、機械鎧は鍔迫り合いを止め、後ろに後退する。それと同時に、鎧全体の温度が急激に下がっていく。
おそらくクールタイムだろう。
敵も、その隙を逃すとは思えない。
そん予感が的中したのか、怪人は機械鎧に攻撃をする。まあ、当たり前だよな。クールタイムで動かない敵なんて、一時的な的だもんな。
「ぐ……」
『胸部ユニット損傷!これ以上の戦闘は危険です!』
『神田君、子供たちを連れて離脱しなさい!』
「……」
『神田君!?』
『装着者の意識喪失を確認。離脱できません!』
俺は、機械鎧が落とした剣を握る。
ふむ……そういう構造で、そういうシステムか。使えないわけではなさそうだな。
そう考えると、俺は剣に力を使う。
『なにを……宇田君、安全装置を』
『安全装置付きません!システムに干渉されています!』
『なんですって!?』
『エネルギーの収束を確認!温度上昇してます!プラズマの発生を確認!10,000K、12000、14000』
『ありえない!シグマブレードもだけど、そんな高温度、周囲の環境が耐えられるはずがない!』
『しかし、結果がそう出てます!』
俺は、十分にエネルギーを集中させて剣に力を込める。このぐらいのエネルギーがあれば、奴の硬い皮を斬れるはずだ。
「があああああ!」
「くたばれえええええ!」
ズバァ!
俺は、剣を一振りして怪人を真っ二つにした。思いの外、あっけなく終わった。しかし、強いなこの武器。誰が開発したんだろうか?
チートを使って上がるはずのない温度にした。それなのに、剣は一部溶けてはいるが、十分まだ戦える状態だった。
「おわった……。この姿、どうすれば戻るんだ?」
そう呟くと、突然背中に違和感が走る。強い衝撃が何発も入れられた感覚だ。
後ろを見ると、銃口をこちらに向けて構えている機械鎧がいた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます