現代の知識と科学で魔法を駆使して

モンド

第1話 プロローグ

ーー プロローグ



男は朽ち果ててとてもじゃないが住むことのできなくなっている自分の実家のあった山奥の元実家の廃墟の前に立っていた。

「やっぱり家は何十年も住んでいないとダメになるものだ、取り壊して自分で家を建てよう!」


男の名前は、影山 龍美(カゲヤマ タツミ)62歳 無職 である。

東京の大手製造業の会社を退職し、「これから1人で好きに生きる」と妻と子供らに宣言し、1人故郷の山にUターンしたのが7日前の事。


重機をレンタルし朽ちた母屋を取り壊しながら基礎用の穴を掘っていたところ、古びた壺を10個ほど掘り当てた。

重機で引き上げて中身を見ると大判小判に宝石の原石や金塊などザックザクの状態、先祖が床下に埋めて隠していた様だ。

金の地金だけでも100億の値打ちはありそうだ、大判小判を換金したがそれだけで3億ほどの金額になった。

1億ほど家族に送金すると、残りのお金を使ってスローライフを送ることにした。

秘密基地の様な自宅を建て好きなバイクや車、猟銃やライフルを使って狩などしながらの生活だ。


そんな好きな事をしていた矢先、夢で子供の頃の記憶が蘇った。それは裏山の隧道のことだ、隧道とは人が手で山をくり抜き生活の道路としていたトンネルの小さいバージョンみたいなもの。

しかしうちの裏山の隧道は深く奥が見えなく子供ながら恐ろしくて一度も入ったことがなかった。

目が覚めてえらくハッキリとした夢に突き動かされる様に裏山に向かう俺。山陰に隠れる様にその隧道はあった、ヒンヤリする空気の中足を踏み入れる俺。

懐中電灯は持っていたが何故か使う必要がないほど中は明るい、光が入ってきているわけではなく壁自体が光っている感じがするのである。


40〜50歩も歩いただろうか自分の体に異変が起きていることに気づいた。

若返っているのが分かる、手足の肌を見ても若々しくいや幼さえ感じられる。

恐怖よりも好奇心が勝りそのまま進むと突然光に包まれる・・・っ、そこは10畳程の広さの石積みの部屋で隅に机と椅子が置いてあった。

俺は机の上の紙束に気付き手にとって開く、それは古い時代に和紙に書かれた日記の様だった。

どうやら埋蔵金を隠しておいてくれたご先祖様の様で隧道を掘った後、見知らぬ世界に迷い込みそこで一旗あげた様だがこれは小説なのか伝記なのか、検証の必要がありそうだ。


最後のページには

『この先はこの世でない世界が広がり、見たことも聞いたこともない人々や

動植物に恐ろしい魔物、手妻の様な技に仙人の様な者までいる。しかもその

世界において身に付いた技や力は現世に戻っても変わることがない。志ある

ならひと旗あげるのも一興、ゆめゆめ疑うことなかれ。』

との辞世の句が書かれて締められていた。

机の横に一揃いの日本刀が立て掛けてあるのに気付き手に取り腰に下げて見る「浪漫だ」。



ーー その先に ーー


石積みの部屋を出ようと数歩歩くといつのまにか洞窟の外に立っていた。自分の後ろを見ると山の崖にポッカリと空いた洞窟の入り口があるだけ、目の前にはなだらかな斜面に沿って下る車一台分の道。しかも未舗装なのにかなりしっかり整地されている。


ここは隧道の反対側なのか?ここに至って自分が見知らぬ土地に足を踏み出すにはなんの準備もしていないのに気づいた。見た目にもこの山の植物は異常だ、見上げるばかりの大木に遠く空を飛ぶ見たこともない鳥?何故かかなり大きな感じがするが・・・。


一旦戻り準備をしてから出直そうと洞窟に向かい歩き出すといつのまにか石積みの部屋そして隧道と続き入り口にたどり着く。

スマホで撮った風景と自分の顔を改めて確認する、間違いなく若返っている。


一旦戻ってきた俺は冒険の為の準備を開始した。山道であるが車一台が通れる、オフロード車を探そう。

インターネットで検索すると丁度いい車が見つかった。自衛隊の払い下げのジープとバイクである。機密的な部品のないものでまだまだ使えそうだ、これらオプションでいくつかの機能を取り付ける。

つぎはサバイバル用品だ、ネットで軍事関連の用品と登山用品を中心に購入する、更に見たことのない生き物がいたことからその対処のため火器類を調達する。

ライフル銃に散弾銃、ここまでならそれほど難しいものではなくすでに許可を得て購入済みだ。弾を多めに購入しさらにナイフや鉈・ノコギリそれに催涙スプレー・スタンガン、照明弾に火薬類の素を肥料として購入。


準備を始めて約1ヶ月、十分に準備が出来たことから荷物をジープに積載し出発した、洞窟の先に着く目の前は相変わらずの風景だが冒険の第一歩としては悪くない。

緩やかな山道をゆっくりと下っていく、時折車の音に驚く獣が走り去るが見たことのないものが多くそれも皆大きい。

ロストワールドではないかと思える。30分ほど下ると川の流れが見え始める、山を下りきったところで地平線が見える様な草原に出た。

要所要所に目印とコンパスを使った測量をしていた俺は、大まかな地図を書きながらこの冒険が長期にわたる冒険である予感がしていた、そのための若返りかも知れない。


時速30kmで走りながら200kmほど走ったところでキャンプすることにした。コールマンシリーズのテントなどを設営しながら1人夕食をとる。写真やビデオも定期的に撮影しているが太陽光の発電機と手動式の発電モーターを使いながらバッテリーの確保を図る。

飲み水としては川の水はなんの問題もない様子であったが一応ろ過しながら飲料した。

テントの周りにはセンサーライトとレーザーセンサーを配置しその日は眠れない夜を過ごした。


朝起きると近くまで獣が来ていた跡がいくつか見つかったが、センサーライトに驚き逃げた様だった。

朝食を済ませ遠くに見えてきた森を目指す、多分この草原に人の姿が無いのは人がいないかここに来るために障害となる物があると思われる。それがあの遠くに見える森では無いかと思っている、それは近づくほどに確信になったきた。


昼には森の手前に到着し昼食がてら双眼鏡で様子を見ていると遠くに以前見かけた巨大な鳥の様なものを見つけた!その姿は異様そのもの恐竜時代の翼竜そのものであった。

やはりここはロストワールドであったのか?しかし未だ文明を感じるものがない今日は無理せず明日森に入ることにする。

ふと森に沿って右か左に行けば森を回避して行けるのではとも思ったが左側はそびえ立つ山脈が右側は遠くまで見えるが何か途中に線が見える、多分大きな地割れか断崖があるのだろう。

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