第22話「亡霊船」
俺の元に2枚のチケットが送られて来た。
どうやら魔術師ギルドからの物らしい。
慰安旅行・・・て訳じゃないよな・・・
「ほう、いいじゃないか。荷物の準備はできているぞご主人様」
行く気満々エデン。
遊びじゃないんだぞこれは・・・
チケットに添えられていた手紙によると、
とある港を行き来している船が亡霊船との噂が立ち、
近隣の行方不明者が頻発している為、調査して欲しいとの事だ。
うーむこれは奇怪・・・て聞いているのかエデン。
「聞いてないぞ」
「聞いてるじゃないか・・・」
こんなやり取りがあり、俺達は噂の港へと出発した。
―
「潮風が気持ちいいな、ご主人様」
「なんで水着なんだ・・・」
いつの間にか水着に着替えてるエデン。
しかもハイレグでV字の際どい奴。
遊びに来たんじゃないんだぞ・・・
夜まで待つとぷっぷーと汽笛の音が聞こえてくる。
例の幽霊船だ。
俺とエデンは満を持してソレに乗り込んだ。
―
きしむ床、ボロボロな帆、いかにもそこが抜けそうな床、
中にはおどろおどろしい不気味な雰囲気が渦巻いている。
そして骸骨の船員たちがちらほらとそこらを歩き回っている。
「ええい、バカンスの邪魔だ!」
エデンが手をかざすと骸骨の船員達は速攻で塵と化す。
「だからバカンスじゃないっつーの・・・」
相変わらずの奔放ぷりに呆れる俺。
そのエデンは探検気分で船の奥へ入っていった。
―
とりあえず空いてる客室に入る俺達。
そこには亡霊と化した客達がいた。
「ええい邪魔だ!キュア―」
慌てて亡霊客人への浄化魔法を止める俺。
大事な情報源だし何より無害だからな。
俺は亡霊客人に聞き込みを開始した。
―
どうやらこの亡霊船は異次元空間を行ったり来たりしてるらしい
今日がその現実に戻って来る日な訳だ。
俺達は生きてる行方不明者を探す為、捜索を開始した。
―
俺は片っ端から客室を開けていくがどこにも生きた人間はいない。
この規模の客船なら相当の人間が乗ってたはず・・・
俺は頭を巡らすと一つの結論に辿り着く。
そう、倉庫だ、倉庫に閉じ込められてるに違いない。
俺は倉庫の扉前に着くとすすり声や泣き声が聞こえて来た。
「ううう・・・もう駄目だ、お終いだ・・・」
「このまま私達死んでいくのね・・・」
その陰気なムードを振り払うように俺は扉の鍵を開け扉を開けた。
「助けに来たぞ!」
俺の一声に歓声が上がる。
しかし生存者達は衰弱しきっている。
一刻も早く外に連れ出さなければ・・・
一応俺は指輪をかざすとエデンに衰弱した乗客に回復魔法をかけさせた。
「気を付けてくれ。ここには巨大な骸骨の怪物がいるんだ」
回復した乗客がお礼を言いつつ警告してくる。
やっぱりな、こういう展開だと思ったよ。
俺達はとりあえず生きてる乗客たちを船外に避難させようとした。
その時である。
何体かの骸骨の船員と巨大な骸骨兵が現れた。
「逃がすものカ!」
俺が指輪をかざす間もなくエデンはすかさず浄化魔法を掛ける。
通常の骸骨の船員は皆やられたが、巨大な骸骨はまだまだ元気だ。
俺も魔剣ブルーノヴァで加勢し切りつけるも、バラバラになるだけですぐに再生してしまう。
「せっかくのバカンスを邪魔しおって!もう許さんぞ!」
エデンは巨大な魔力の拳を呼び出すと、巨大な骸骨兵を殴り付けた。
バラバラどころか塵になった巨大な骸骨兵は二度と再生する事はなかった。
―
生存者達を無事船外まで送り届けた俺達は、船が異次元に消える前にとっとと引き上げた。
バカンスを満喫できなかったエデンの愚痴を聞きつつも、俺達は港を後にした。
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