第37話 赤王ゼビウス

 ◇◇◇◇◇


 ピリ〜ン!ピリ〜ン!


ゼビウス:「おーい、ユウサック総帥!聞こえるか?」


ユウサック:『うむ。聞こえてるぞ。ゼビウスか?』


ゼビウス:「おう、そうだ。サザンオールに着いたぞ。

 じゃあ、こっちの様子を報告するぞ。」


 総帥ってハンターズのトップじゃなかったっけ?ゼビウスさん、タメ口なんだけど……。


ユウサック:『相変わらず、お前はせわしないねぇ。』


ゼビウス:「まず、ヘルサイズの拠点を見て来た。

 幹部が不在だったんで殲滅しておいたぞ。」


ユウサック:『お前、殲滅しちゃダメじゃ〜ないの?

 まあ、しゃーないか。で?』


ゼビウス:「そのあと、幹部のアズワドを追って行った。

 追いついたら、ちょうど戦闘中でな。

 そのアズワドは死んだぞ。

 殺ったのはリンドウ・ササキだ。

 最近、Aランクになったハンターだが、知ってるか?」


ユウサック:『んー?ああ、例の女剣士だねぇ。

 幹部を殺っちゃったか。すごいねぇ。』


 え?リンドウって有名なんだ?


ゼビウス:「おう、知ってたか。幹部を瞬殺だぜ。」


ユウサック:『ほう。これまたすごいねぇ。』


ゼビウス:「そうだな。俺の見立てだと、そこらのSランクより強いな。」


ユウサック:『ほう。お前が認めるのは珍しいねぇ。

 そんなに強いのか?』


ゼビウス:「そうだな。認めざるを得んよ。

 今のままでもハンターズ四天王を張れるんじゃねえか?」


ユウサック:『ほう。お前と同等ってわけか。

 それはぜひ会ってみたいもんだねぇ。』


ゼビウス:「そうか?ここにいるけどな。」


ユウサック:『あれまあ。聞いてたのか?

 早よ言わんかい!』


リンドウ:「聞いてたわよ。総帥さん。」


ユウサック:『そうか。リンドウだな。ユウサックだ。

 幹部殺っちゃってくれてありがとう。

 たしか、アズワドは懸賞金1億ペロだったよなぁ。首は持って来たんかい?』


リンドウ:「ええ。ゼビウスさんに言われて持って帰って来たわよ。ここにあるわ。」


ユウサック:『そうか。まあ、ゼビウスが見てたんならどっちでも良かったけど。

 ほんじゃ、グレコから1億ペロ貰ってくれ。

 おい!グレコ!いるんか?』


グレコ:「ええ。いるわよん。

 お久しぶりねえ。ユウサック総帥。」


ユウサック:『何がお久しぶりだ。気持ち悪いねぇ。

 ちゃんとやってるのか?』


グレコ:「どういう意味よ。

 ちゃんとやってるわよ。失礼ね。」


 あれ?グレコさんもタメ口?

 総帥って一番偉いんだよね?


ユウサック:『そうか。そりゃ良かった。

 そこにいるリンドウだが、Sランクに上げておいてくれ。わしの権限で許可する。本部承認も指示しておくからな。』


グレコ:「承知したわ。リンドウ、いい?」


リンドウ:「ええ、いいわよ。」


ゼビウス:「総帥!もう一人、Sランクにしておいてくれ。カゲロウ・モモチってやつだ。

 こいつもリンドウ並みに強い。」


ユウサック:『ほう。そいつもそこにいるのか?』


カゲロウ:「あ!うちかいな。おるでぇ。

 うちの強さがバレてもうたか。

 やっぱりわかる人にはわかるんやなぁ。

 しゃーないからSランクになったるわ。

 今はFランクやけどな。ええんかいな?」


ユウサック:『なんか、大丈夫かねぇ?

 ま、四天王クラスと同等とゼビウスが言うんなら、Sランクにするのは問題ないかねぇ。

 ほんじゃ、グレコ!

 カゲロウもSランクで。』


 軽!めっちゃ軽いノリでS!

 そんな感じでSランクってなっていいの?


グレコ:「承知よ。で、リオはどうするのよ?

 ゼビウスの見立ては?」


ゼビウス:「おう、そうだな。

 リオは今Cランクだったか?」


リオ:「はい。そうです。」


ゼビウス:「それじゃあ、そのままでいい。」


 あっさり!?まあ、妥当ですよね。


ユウサック:『おーい!リオって誰?』


ゼビウス:「誰って……。

 リンドウたちと一緒にいる少年だな。」


ユウサック:『ああ。あれな。2属性持ちの少年だったか。

 たしか、女剣士の主人だったかねぇ。』


 え?知ってるの?


ゼビウス:「え?リオって2属性持ちなのか?

 リンドウの主人って?」


リオ:「えーと、まあ持ってますね。」

リンドウ:「そうね。リオは私とカゲロウの主人よ。」


ゼビウス:「なんじゃそりゃ!」


 全属性持ってるけど、言えないよね。


ユウサック:『なるほどねぇ。

 四天王クラスを2人も従者に持つ少年か。

 どういうことか教えてくれないかねぇ?』


リンドウ:「ユウサック総帥。悪いけどそれは秘密よ。」


ユウサック:『だよねぇ。

 少年はCランクねぇ。

 歪なグループだねぇ。』


 そこおさらいしなくても……。


ユウサック:『じゃあ、報告ご苦労さん。

 ゼビウス。戻って来ていいよ。』


ゼビウス:「ちょっと待て!俺は来たばかりだぞ。

 こっちでゆっくりしてから帰る。」


ユウサック:『そうか。まあ、好きにしたらいい。』


 ピリン!


グレコ:「あ!切れたわね。」


ゼビウス:「いつものことだ。

 よし。これでリンドウとカゲロウがSランクだな。これで戦力アップだ。少しゆっくりできるかな?」


リンドウ:「どう言う意味なの?」


ゼビウス:「ああ。言うの忘れてたな。

 Aランクまでは支部管轄で、まあ自由に討伐やってりゃいいが、Sランクは本部管轄になる。たまに本部から要請が来るんだよ。」


リンドウ:「騙したわね。」

カゲロウ:「騙されたんかいなぁ。」


ゼビウス:「いやいや、忘れただけだ。

 いまさら断るなよ。」


リンドウ:「まあ、いいわ。

 気に入らなければ断るだけよ。」

カゲロウ:「せやな。断るだけよ。」


ゼビウス:「おう。それでいい。」


 いいんですか?

 ゼビウスさんって全てが軽いです。

 

リンドウ:「それで四天王って何なの?」


 あ!それ、僕も気になってた。


グレコ:「それはね。ハンターズ最強の称号よ。

 総帥と参謀を除けば、ハンターズのトップに君臨するSランクハンター。

 そこのゼビウスがそう。赤王せきおうゼビウスよ。」


ゼビウス:「ま、そういうこと。」


 え?ゼビウスさんがハンターズ四天王!?


リンドウ:「たしかにね。」

カゲロウ:「そうかいな。」


ゼビウス:「それじゃ、俺は退散するよ。

 少しの間、この辺りで遊んでるからばったり会うかもな。

 グレコ!拠点の始末よろしく!じゃあ。」


 バタン!


 ゼビウスさんは支部長室を出て行った。

 たしかにせわしない。


グレコ:「本当にもう。

 じゃあ、これ。1億ペロね。」


 リオはヘルサイズ幹部の飛剣のアズワドの懸賞金を受け取った。

 チャリーン!(効果音)

 所持金:100343000ペロ


 うおー!1億ペロ!

 11連が100回分!


 リオの顔を見て、リンドウとカゲロウが笑ってる。つい、顔に出ちゃったよ。


グレコ:「リンドウとカゲロウのランク書き換えはここでやっちゃうわね。

 冒険者証を出してくれる?」


 グレコさんが慣れた手つきで、手続きをしてくれた。リンドウたちは冒険者証を受け取った。


 うわー。Sランクになってる!

 なんか、かっこいいなぁ!


グレコ:「それじゃ、あなたたちも行っていいわよ。

 魔心があるなら、下で換金して行ってね。」


 リオたちは、下に降りて魔心の買取をしてもらった。


 リオは魔心買取代金を受け取った。

 チャリン!(効果音)

 所持金:110750000ペロ


 買取も結構な金額になった。

 地理も積もれば、山となる。

 11連が110回分に変更!


 これは!帰ったら祭りの予感!!


 ◇◇◇◇◇

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