第37話 赤王ゼビウス

 ピリ〜ン!ピリ〜ン!


「おーい、ユウサック総帥!聞こえるか?」


『うむ。聞こえてるぞ。ゼビウスか?』


「おう、そうだ。サザンオールに着いたぞ。

 じゃあ、こっちの様子を報告するぞ。」


 総帥ってハンターズのトップじゃなかったっけ?ゼビウスさん、タメ口なんだけど……。


『相変わらず、お前はせわしないねぇ。』


「まず、ヘルサイズの拠点を見て来た。

 幹部が不在だったんで殲滅しておいたぞ。」


『お前、殲滅しちゃダメじゃ〜ないの?

 まあ、しゃーないか。で?』


「そのあと、幹部のアズワドを追って行った。

 追いついたら、ちょうど戦闘中でな。

 そのアズワドは死んだぞ。

 殺ったのはリンドウ・ササキだ。

 最近、Aランクになったハンターだが、知ってるか?」


『んー?ああ、例の女剣士だねぇ。

 幹部を殺っちゃったか。すごいねぇ。』


 え?リンドウって有名なんだ?


「おう、知ってたか。幹部を瞬殺だぜ。」


『ほう。これまたすごいねぇ。』


「そうだな。俺の見立てだと、そこらのSランクより強いな。」


『ほう。お前が認めるのは珍しいねぇ。

 そんなに強いのか?』


「そうだな。認めざるを得んよ。

 今のままでもハンターズ四天王を張れるんじゃねえか?」


『ほう。お前と同等ってわけか。

 それはぜひ会ってみたいもんだねぇ。』


「そうか?ここにいるけどな。」


『あれまあ。聞いてたのか?

 早よ言わんかい!』


「聞いてたわよ。総帥さん。」


『そうか。リンドウだな。ユウサックだ。

 幹部殺っちゃってくれてありがとう。

 たしか、アズワドは懸賞金1億ペロだったよなぁ。首は持って来たんかい?』


「ええ。ゼビウスさんに言われて持って帰って来たわよ。ここにあるわ。」


『そうか。まあ、ゼビウスが見てたんならどっちでも良かったけど。

 ほんじゃ、グレコから1億ペロ貰ってくれ。

 おい!グレコ!いるんか?』


「ええ。いるわよん。

 お久しぶりねえ。ユウサック総帥。」


『何がお久しぶりだ。気持ち悪いねぇ。

 ちゃんとやってるのか?』


「どういう意味よ。

 ちゃんとやってるわよ。失礼ね。」


 あれ?グレコさんもタメ口?

 総帥って一番偉いんだよね?


『そうか。そりゃ良かった。

 そこにいるリンドウだが、Sランクに上げておいてくれ。わしの権限で許可する。本部承認も指示しておくからな。』


「承知したわ。リンドウ、いい?」


「ええ、いいわよ。」


「総帥!もう一人、Sランクにしておいてくれ。カゲロウ・モモチってやつだ。

 こいつもリンドウ並みに強い。」


『ほう。そいつもそこにいるのか?』


「あ!うちかいな。おるでぇ。

 うちの強さがバレてもうたか。

 やっぱりわかる人にはわかるんやなぁ。

 しゃーないからSランクになったるわ。

 今はFランクやけどな。ええんかいな?」


『なんか、大丈夫かねぇ?

 ま、四天王クラスと同等とゼビウスが言うんなら、Sランクにするのは問題ないかねぇ。

 ほんじゃ、グレコ!

 カゲロウもSランクで。』


 軽!めっちゃ軽いノリでS!

 そんな感じでSランクってなっていいの?


「承知よ。で、リオはどうするのよ?

 ゼビウスの見立ては?」


「おう、そうだな。

 リオは今Cランクだったか?」


「はい。そうです。」


「それじゃあ、そのままでいい。」


 あっさり!?まあ、妥当ですよね。


『おーい!リオって誰?』


「誰って……。

 リンドウたちと一緒にいる少年だな。」


『ああ。あれな。2属性持ちの少年だったか。

 たしか、女剣士の主人だったかねぇ。』


 え?知ってるの?


「え?リオって2属性持ちなのか?

 リンドウの主人って?」


「えーと、まあ持ってますね。」

「そうね。リオは私とカゲロウの主人よ。」


「なんじゃそりゃ!」


 全属性持ってるけど、言えないよね。


『なるほどねぇ。

 四天王クラスを2人も従者に持つ少年か。

 どういうことか教えてくれないかねぇ?』


「ユウサック総帥。悪いけどそれは秘密よ。」


『だよねぇ。

 少年はCランクねぇ。

 歪なグループだねぇ。』


 そこおさらいしなくても……。


『じゃあ、報告ご苦労さん。

 ゼビウス。戻って来ていいよ。』


「ちょっと待て!俺は来たばかりだぞ。

 こっちでゆっくりしてから帰る。」


『そうか。まあ、好きにしたらいい。』


 ピリン!


「あ!切れたわね。」


「いつものことだ。

 よし。これでリンドウとカゲロウがSランクだな。これで戦力アップだ。少しゆっくりできるかな?」


「どう言う意味なの?」


「ああ。言うの忘れてたな。

 Aランクまでは支部管轄で、まあ自由に討伐やってりゃいいが、Sランクは本部管轄になる。たまに本部から要請が来るんだよ。」


「騙したわね。」

「騙されたんかいなぁ。」


「いやいや、忘れただけだ。

 いまさら断るなよ。」


「まあ、いいわ。

 気に入らなければ断るだけよ。」

「せやな。断るだけよ。」


「おう。それでいい。」


 いいんですか?

 ゼビウスさんって全てが軽いです。

 

「それで四天王って何なの?」


 あ!それ、僕も気になってた。


「それはね。ハンターズ最強の称号よ。

 総帥と参謀を除けば、ハンターズのトップに君臨するSランクハンター。

 そこのゼビウスがそう。赤王せきおうゼビウスよ。」


「ま、そういうこと。」


 え?ゼビウスさんがハンターズ四天王!?


「たしかにね。」

「そうかいな。」


「それじゃ、俺は退散するよ。

 少しの間、この辺りで遊んでるからばったり会うかもな。

 グレコ!拠点の始末よろしく!じゃあ。」


 バタン!


 ゼビウスさんは支部長室を出て行った。

 たしかにせわしない。


「本当にもう。

 じゃあ、これ。1億ペロね。」


 リオはヘルサイズ幹部の飛剣のアズワドの懸賞金を受け取った。

 チャリーン!(効果音)

 所持金:100343000ペロ


 うおー!1億ペロ!

 11連が100回分!


 リオの顔を見て、リンドウとカゲロウが笑ってる。つい、顔に出ちゃったよ。


「リンドウとカゲロウのランク書き換えはここでやっちゃうわね。

 冒険者証を出してくれる?」


 グレコさんが慣れた手つきで、手続きをしてくれた。リンドウたちは冒険者証を受け取った。


 うわー。Sランクになってる!

 なんか、かっこいいなぁ!


「それじゃ、あなたたちも行っていいわよ。

 魔心があるなら、下で換金して行ってね。」


 リオたちは、下に降りて魔心の買取をしてもらった。


 リオは魔心買取代金を受け取った。

 チャリン!(効果音)

 所持金:110750000ペロ


 買取も結構な金額になった。

 地理も積もれば、山となる。

 11連が110回分に変更!


 これは!帰ったら祭りの予感!!


 ◇◇◇◇◇

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