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 「…期限は?」

 「六月、二十日、土曜日、午後十二時、です!」

 「そこだけめちゃくちゃ具体的なんだ」

 「湯河原ホタル祭りがあって」

 て、こんどはもじもじしはじめる。

 「一緒に、ホタル見たいなぁ、なんて…浴衣で、…きゃあ! むり、もう無理です! やめてください!」


 なんだか、オレたちが女子高生をいじめてるみたいになってきてる…


 「あの、あの、あ! ダメだ恥ずかしい! あの、きょうはこれで失礼します!」


 え、恥ずかしい? いまさらでは?


 「それではあした! 食堂でお待ちしてます!」


 え、あしたも来んの?


 「え、お嬢ちゃん、」

 「さよなら!」

 校門へと、バタバタ、脱兎の如く走っていってしまった。


 「…ヤバいなあの子」


 セブンで傘を盗む男に一目惚れしモノにする計画を実行し、来週には恋仲に落ち着こうとしている。


 泥棒にハートを云々時点でヤバいけど、べつの意味でいろいろヤバそうだ。


 「お前が泥棒だって、どこで、」

 朧月が意見しかけたのを読んだように、


 「あ!」


 ユリちゃんが校門で足をとめてふり返った。


 「あと! その人、すっごく、優しいんですっ!」

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