四季咲さんたちは愛されたい

白鷺雨月

第1話 四季咲真冬

 今日見た映画面白かったわね。

 オタク君、なかなかいい趣味してるじゃない。

 君がさそうからさ、てっきりアニメの映画かなと思ったけど。ミステリーなんて意外だったわ。

 えっ私がミステリーが好きだっていってたからそうしたって。あら、そうなの。

 なんか気をつかわせたみたいだね、ありがとう。

 

 それで、次はこのカフェなんだ。


 ここも来てみたかったのよね。

 で、なに食べるの。

 私はカフェオレとチョコミントアイス、オタク君は何するの。

 パンケーキにバニラアイスのトッピングか、ベタだけどいいわね。

 そうだ、来たらちょっと食べさせてよ。

 ここのパンケーキも気になってたのよね。

 でもほら周り見てよ、女の子同士かカップルばっかりでしょう。

 一人じゃあお店にはいるのも気がひけてさ。


 あっ、店員さん、オーダーいいですか。

 ええっ私はカフェオレとチョコミントアイス。セットにできるの。

 じゃあそっちのほうがお得なんだ。それでお願いします。

 で、こっちの彼にはパンケーキにバニラアイスをトッピングで。

 そうだ、ドリンク何するの?

 レモンソーダがおすすめだって。私もそれちょっとのんでみたいからそれにしなよ。

 じゃあ、店員さんオーダーはそれでお願いね。



 あっ来た来た。さすがネットで話題になってただけあるわね。

画像撮ろうっと。

 オタクくんのも撮らしてよ。

 そっちも映えるわね。


 さて、食べましょうか。

 

 うーん美味しいわね。チョコが甘くてミントがスッキリしてて。

 私、スイーツのなかでもチョコミントアイスが一番好きなのよね。ここもそれが有名らしいんだけど。

 まさかそれも調べてくれてたの。

 何それ、リサーチハンパないわね。

 ほらっ、パンケーキもらっていいかな。

 じゃあ遠慮なく。

 あーこっちも美味しい。

 オタク君と一緒に来れて良かったわ。どっちも食べれたからね。パンケーキも私の好物なんだよね。

 でも一人じゃあこんなに食べれないし。

 一人じゃあここ入りにくいし。

 友だちとは来ないかって……。


 オタク君、それは世の中聞かないほうがいいって言うのがあるのよね。

友だちいないんだよね。

 いや、正確にはいるんだけど一緒には行動できないみたいな。

 まあ、人にはいろいろあるんだよ。



 でもオタク君が誘ってくれて良かったわ。

 映画も面白かったしね。

 君、オタクなのにいいセンスしてるわよ。



 はー美味しかった。

 本当にありがとうね。

 誰かと何かを食べるののもたまにはいいわね。


 今度はオタク君の見たい映画を観ましょうよ。

 私の好みばっかり優先してもらってなんだか悪いわ。


 あれっどうしたのさっきまでアニメとか漫画の話してたのに黙りこんで。

 えっ何、ちょっと声が小さいわ。

 もっとはっきり言ってよ。

 それに顔が真っ赤じゃない。

 耳の先まで赤いわよ。

 熱でもあるんじゃない。

 ねえ、オタク君、大丈夫?

 今日はこれで帰る?



四季咲真冬しきざきまふゆさん僕とつきあって下さい‼️」



 ふぇっちょっと待って待って。

 オタク君、何いってるの。

 それにそんな大声で。

 お店にいる人皆の注目じゃないの。

 お水飲ませてよ。

 

 ゴクリゴクリ。


 ふーちょっと落ち着いたわ。

 それでオタク君、いや、宅間優一君。

 君が私とつきあいたいっていうの。

 なるほどこれはデートというわけか。

 それで私の好きなところに連れてきてくれたのね。

 正直、それは嬉しいわ。

 君が私のことをいろいろ考えてくれたってだけで嬉しいわ。

 でも私もう二十七歳よ。オタク君の五つも上のアラサーの会社の先輩よ。

しかも友だちもいないぼっちの私なんか。

 へっ、先輩は美人でスタイルよくって理想ですって。

 いや、そんな褒めないでよ。こっちまで熱くなってきたじゃないの



 でっ、返事はって。

 ううん、そうね。

 

 オタク君そんな暗い顔しないでよ。

 

 私も君のことそんなに悪く思ってないから。


 うんうん、こうやって誘ってくれるのはオタク君だけだからね。それはすごく嬉しいのよね。

 でもあの子たちがどういうかなのよね。



 あっ、ごめんごめん。

 一人でわけわからないこと言っちゃてたわね。

 オタク君、いいえ、宅間君。

 君の申し出はすごく嬉しいわ。

 前向きに検討させてください。

 ごめんなさいね、本当はすぐにでもイエスって言いたいんだけど私にはある秘密があるの。

 それを受け入れてくれたらオタク君と正式につきあいたいって思うわ。


 だから一週間後、また、デートしましょう。


 君、分かりやすく顔にでてるわよ。

 私とデートできて嬉しいって。

 オタク君、どこでそんなお世辞覚えたのよ。

 あっ、あと一応今日から毎日連絡してね。

 内容はなんでもいいわ。

 メールとかラインとか好きなんだけど誰からも来ないから寂しかったのよね。

 ほら、見なよ。今でもオタク君と業務連絡しかないのよね。



 じゃあ、一週間後ね。私じゃないけど私がくるからよろしくね。

 うん? 

 言ってる意味がよくわからない。

 一週間後にちゃんと説明するから。

 そっちこそ約束、すっぽかさないでね。 

 はい、指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます‼️



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