オーシャンレイン

雨音愛里

プロローグ・不思議な声

 私は今、テレビゲームをしている。


 恋愛ありのスローライフRPGというジャンルのゲームなんだけど、今、すっごい人気なの。


「オーシャンレイン面白い!ヤバイわ」


 テレビ画面に夢中になっていると、テレビではないところから声が聞こえた。


 自分の頭の中で声が響いているような感じだ。


「水森明莉様、今から本物のゲームの世界にご案内いたしましょう」


 綺麗な声なのに、現実離れしたような事をいう脳内に、私は困惑する。


 オーシャンレインは確かに楽しい。


 海の中の国での冒険と恋愛、そして農作だ。


 名字に水が入っているから選ばれたのか、それともただの私の空想か?


「さぁ、目を瞑って」


 頭の中の声がそういうから、私は目を瞑る。


 そして、数秒すると身体に水を感じる。


 目を開けると、見慣れた家具もなにもなく本当に木製のベッドと、机、椅子、棚などがあるだけだ。


 テレビすらない。


「私、どこに来たの?」


「ミズモリアカリ様、今からゲームを開始します。一日一回は必ずダンジョンに入ってください」


 ダンジョンは、このゲームには9つある。


 一日1ダンジョンか。


 簡単といえば簡単な条件だ。



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