第5話 歴史は繰り返す

ダウン症の息子と歩いていて、

スーパーなどでダウン症の赤ちゃんを見つけると、とても嬉しくなる。

後輩の、絶滅危惧種に出会えた喜び。


(あー、かわいい・・・)


滂沱の涙・・・。

私はその子に息子を見ているのだ。


30年前には、

私はそういう中年女がたまらなく嫌だった。


(見ないで、来ないで、話しかけないで)


そう思った。


(私の赤ちゃんは、無限の可能性を秘めた、

宝であるから、

ダウン症、というカテゴリーに易々と甘んじるつもりはないです。

仲間にしないでください。

少なくとも、私の子は、あなたの息子くらいの年になったら、

独りで行動させますから)


あれから30年。


若いママに、迷惑な顔をされ、

気づかないふりをされる中年になった。


旅を始めたばかりのママは、

そんな気合があっても、良いと思う。


ハッピーエンド確約の、

ミステリーツアーへいってらっしゃい。


ああ私に近づいてきてくれたおばさんも、

こんな気持ちだったのか。



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