暑い日の思い出 1

 さて、前回の追伸の通り、空いた期間中の女装について語ることにしよう。この時は初めてウィッグを手に入れた際のことである。


 それは猛暑が肩を組んで引っ付いてくるような8月上旬の日である。ずっと思い立ってはSNSやネット検索などで調べていたウィッグをとうとう買う決心をしたのである。画面の中にもよさげなものはいくつかあったが、服よりもサイズ等がわからない、さらには色味が重要なモノであるから購入のボタンを押せずにいた。

 しかしそこに一筋の光が差した。気になっていたウィッグを取り扱っている実店舗が隣県にあったのだ。それほど遠くない距離でもあるため、仕方なく猛暑を仲良く肩を組みながら向かうことにした。


 そこら一帯は割と栄えている街並みだったため、地元よりも、高いビルが立ち並び猛暑からは多少私を救ってくれたものの、周りの景色が見えないせいで一度迷ってしまった(あくまで私が方向音痴である訳ではないと暗に主張させていただく)。

 そんなこんなで目的の店にたどり着いたわけである。扉を通ると棚に所狭しと並べられているウィッグがお出迎えしてくれた。ざっと一通り見るとネットでチェックしていたものを恐らくだが見つけれた。しかし折角だからと他のものもじっくり見ることにした。が、やはりチェックしていたものが1番気に入り、唯一ネットでは明るめの茶色を見ていたが、少しピンクが入ったものの方が自然に可愛くみえる気がしてそちらに変更した。

 購入はすんなりと進み、それほど買わないだろうと思いつつ勧められるがままにポイントカードも作成した。半分、というかほぼコスプレのためのウィッグ専門店という感じだったからなのか、どこからどう見ても男の私でもコンビニで買い物をするくらいの感覚で接してくれた。


 その後は1つ寄り道をしたがそれはまたの際に説明しよう。寄り道が終わると特に問題もなく帰宅した。さて、これからが少しの戦いである。リュックに入れていた為、持ち帰るのには苦労要らずのウィッグだったが、いつもの隠し場所に運ぶとなると話は別である。

 ちなみに隠し場所とはベッドの下である。・・・・・皆さんの言いたいことはよく分かるつもりである。そんな定番中も定番の場所になどもはや見つかって欲しいと言っているようなもの。実は3割程は仰る通りなのだ。隠し場所を考える際に悩みに悩んだがどうも実家には「絶対見つからない!」という場所が存在しなかった。よって、「見つかるであろうが、見つかっても問題ないようにしよう。」という判断に至った。つまり2重ロックの要領である。ベッドの下もある程度カモフラージュするが、ブツを入れている箱にも南京錠を付けておくのである。箱はもちろん不透明であるから南京錠を解錠されない限り「なにあれ?」で済む。さらに言えば「ベッドの下に隠すものと言えば、大人が嗜むもの」という変な先入観があるから敢えて「あれは何?」と聞かれることも無い。肉を切らせて骨を断つ、である(多分違う)。


・・・・・・どうにも隠し場所について語りすぎてしまったため、今回はここらで締めることにする。皆さまにはどうか落胆せずなにかの参考になった、とでも考えていただきたい。

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