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気が済んだのか、ツキノワグマはおとなしく引っ込んだ。代わりに後部座席の窓が下がり、
「あ、あ!」
シュウが遠慮なくハルカの膝を踏んで身をのりだす。忙しなくメガネをずり上げる。
「ヤンくんっ!」
ヤンが顔をだした。
「顔はだすな。あぶない」
て、パパのはなしも聞かずに目をくりくりさせて手をふる。
「シュウ! ハルカ! フウ!」
助手席にはお父さん、ヤンの向こうではお母さんも手をふってる。
「どうして!」
「おまえのパパが、」
お巡りさんが笑う。
「盗みだしたんだよ」
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