【🐻完結 5分読書①🔫】ベティちゃん誘拐殺人事件
浩太
🏴☠️
波が岩礁に打ちつけては砕けて巻いてゆく。
朝 八時。逗子のタイドは、引き。
弄ばれるみたいに、見知ったものが波間に現れては消える。
腕、背中、たぶん脚、の、骨。と、
『ヤン』
友だちのネームが刺繍された、体操着。
「と、ゆうことは、」
ぼくのとなりで、ぽつり、シュウが呟いた。牛乳瓶の底みたいな黒縁メガネを、忙しなくいじっている。
「あれ、だね」
また別のとなりから、ハルカが呟きが落ちてくる。
背が高いから、ハルカの呟きはいつもぼくの上から落ちてくる。
「…いこう、」
体操着から目を引き離すみたいに顔を上げて、ぼくは踵を返した。
ぼくはただ、ベティちゃんを盗みだして、て、頼んだはずだったのに。
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