魔竜王編
第2話 森の中で
ズドンッと凄まじい轟音が鳴り響いた。
「あ、あぶなあ」
あれから10日たった。
一日目に城をひと通り見て周り、一月はとりあえず生活できるのを確認してからはおおよそ暇になっており暇つぶしをしていた。
私はおそるおそるガラス化したクレーターを覗き込んだ。
今、私がやっていたのは神様からもらった(?)魔法の試し打ちだった。
「知識」にはイメージと魔力操作が最も重要かつ初歩だと合ったので実践してみたわけですが••••••
人の腕ほどの太さの雷を出そうとしたけれど、結果は惨敗。落雷でも起きたかというレベルの雷が出てしまった。
「••••まずは威力の調整ができるようになるところからかな」
こんな高威力のものなんておちおち使ってられない。余波だけで死人が出かねない。
かくいう私も無属性魔法の身体強化を使っていなかったらやばかったかもしれない。
ちょっとビビりながらクレーターを地属性魔法でつかう魔力量に注意し、魔力操作に注意をはらいながらならしていく。
「やっぱり雷属性って他の属性魔法よりむずかしいなあ」
少ない魔力でもかなりの威力が瞬間的に出るから使いこなせればかなり強力なはずなんだけどな••••••
それでも最初のときよりは遥かにマシだ。最初なんて危うく中庭まるごと消し飛びかけたんだから。
「なんか違うのかな?」
暫く雷を出したりしてむーん、と考えたりしていたけれどそう簡単に答えが出るならここ何日か悩んではいない。取り敢えず一旦おいておいて気晴らしに城下町に出た。
そう城下町。
これは合計十万体ものゴーレムたちを何にも使わないのはもったいないからとマインク○フトのようなノリで作りまくった集大成だ。
数十万もの家屋にいくつもの大規模な施設。
そんな規模を僅か十日間で作り上げた、恐ろしいまでのゴーレムの凄まじさは暇つぶしには最適だった。
人がいないことが不思議なほど整った街を通り過ぎ外壁を出て、強化魔法を使って走ると二十分程で森についた。
「<サーチ>」
サーチは相手の気配を探す探知魔法。魔力消費も小さいため使い勝手がとても良かった。
「十二匹、もう気づいてる。魔物、シルバーウルフ?」
そう言いながら私はスラリと腰に差していた刀を抜いた。
城の宝物庫にあったもので銘は<天祗>。凄まじい切れ味で名刀であることには間違いなかった。
「<風牙>!!」
風属性魔法と剣技の合技の<風牙>は風の刃を飛ばし、現れた先頭のシルバーウルフを真っ二つに叩き切った。
(まず一匹ーーー)
「グルオオオオオオ!!」
「ガアアアアアアア!!」
屠られた仲間を見てもシルバーウルフたちは怯まない。
「<アースランス>!」
地面から突如として現れた石の槍が二匹の喉を正確に穿った。
(これで三匹。)
「<八重桜>」
八つの剣閃が走り四匹を三分割にする。
(七匹ーー)
残った五匹はまだ逃げず、私を囲むがーー無駄。
「〈嵐刃〉!!」
風属性魔法〈嵐刃〉が私のまわりに展開され、飛び込んできたシルバーウルフたちに向かって刃が舞う。
ほんの1秒程の間で狼たちは切り刻まれ肉塊になった。
ドシャリ、と元狼だったものが落ち、残った敵がいないか残心してから刀を納めた。
「ふう。だいぶ魔法を混ぜた戦闘も馴染んできたかな」
最初は刀を振るうことに集中して魔法を暴発させたり、索敵を疎かにして奇襲を受けたりと散々だった。何度か本当に死ぬかと思った。
ほー、とひと息つき、魔物の証の魔石を回収しようとシルバーウルフに手を伸ばした直後。
ズンーーーーーーー
上空からの凄まじいプレッシャー。
「ッーーーー」
ーー殺気!!
私がそれを目にするのと森の一角が爆ぜたのはほぼ同時だった。
数十メートルの巨体と空を舞う為の巨大な翼。
神話にすら現れるそれの名は
「ーーー竜ーーー!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます