【No. 021】さいしょのおつかい、さいかわいちかさんさんさいのかい(時代劇:平成)

さいしょのおつかい、さいかわいちかさんさんさいのかい

 こんかいさいしょのおつかいにいどむのは、おおさかさかいしにおすまいのさいかわいちかさん。さんさい。

 おかあさんのさいかわさいかさんから、おさいふとかいものかごをうけとります。


「さいしょにやおやさんではくさい。それからあさり、これはかいやさかいおさかなやさんやな。さいごにざっかやさんでざーさいか、なかったらいかのしおから。さ、いっかいいってみ」

「はくさい、かい、ざーさいかいかのしおから」

「せいかい! わすれたらさいふのなかのかみにいっさいがっさいかいてあるさかい、それみなさい」


 さいしゅうかくにんをおえ、いちかさんのさいしょのおつかいのかいしです。

 いちかさん、ほいくえんのかけっこではいつもさいかい。おまけにさいきんのうんきはだいさっかい。

 ぶじにさいしょのおつかいをおえ、おかあさんのさいかさんとさいかいできるのでしょうか?


 さかをいくいちかさんのあしどりは、さいかいのししかのようにさいこうそくでいっちょくせん! さいさきのいいかいしんげきです。

 さいしょのかどをまがったさきでは、かいづかいぶきがさいばいされています。

 いちかさん、さいたばかりのかいづかいぶきにきょうみしんしん。

 だけどごあんしんください。かいものかごをみてすぐにおもいだし、おつかいをさいかいしました。


 ところがいちかさん、いちなんさってまたいちなん。さんかいめのかどをまがったところでは、さいきんかいわいでうわさのうでききさいきっかー、ききかいかいさいきっくしょーがかいさいされていたのです。


「さあいいかい、おじょうちゃん? このさんまいのかーど、それぞれかわいいどうぶつがかいてあるやろ。さいかいのししかいかやで。さ、いちまいえらんだってんかい」


 さいきっかーのききかいかいさんがさそいかけますが、いちかさんはおつかいのとちゅう。


「おつかいしてるさかい、さいなら」

「さよかい。ほんならかいさんや」


 さすらいのさいきっかーききかいかいさんはさっていかれました。ゆうわくにまけないかしこいいちかさん。

 さあ、おつかいのさいかいです。


 やおやさんにきたいちかさん、おみせのひとにごあいさつ。


「おやさいかいにきてん」

「へえ、さよかい。なにかうんかいな?」


 いちかさん、おやさいのなまえをわすれてしまいました。


「なんちゃらさい?」

「うーん、はくさいかい? ちんげんさいかい?」

「はくさい!」


 なんとかひとつめのおつかいはせいかい。

 つぎはおさかなやさんですが?


「さかやさん、おつかいにきてん」

「さいかわさんとこのおこさんかい。ほんならごちゅうもんはだっさいかい?」

「かいはおいてへんの?」

「かいかいにきたんかい。せやったらさかやさんとちがう、おさかなやさんや」


 あぶないところでしたが、やさしいさかやさんにおさかなやさんへあんないしてもらいました。


「おおきにさかやさん」

「ええよ。またおさけかいにきてや」


 さあいちかさん、またおつかいさいかいです!


「ごめんください、かいください」

「さよかい。なんのかいかいにきたんかいな?」

「なんやろ?」

「しるかい」


 いちかさん、さいふのなかのかいものめもをすっかりわすれています。それさえみれば、なんのかいかもかいてあるのに。


「わからんのやったらさざえがええ。でっかいさざえかいいや!」


 さかなやさんはここぞとばかりに、おみせでいちばんたかいかいをすすめます。これはさいあくのてんかい。


「ほなそれで」


 いちかさん、あさりをたのまれたのにさざえをかってしまいました。ざんねん、ふせいかい。

 さいごのひとしな、ざーさいかいかのしおからをかいにいくおかねはたりるのでしょうか?


 さいごにいちかさんがむかうのはざっかやさん。

 せいせんしょくひんいがいはだいたいかいそろえられるおみせです。


 いちかさんがざっかやさんにあしをふみいれようとした、そのとき。


「あばれいのししだ!」


 なんとしょうてんがいのおくからおおきないのししがかけてきました!


「あばれさいだ!」


 そしてはんたいがわからはおおきなさいが!


「かじだー!」


 なんとそのうえ、ざっかやさんでかさいはっせい!


 どこににげてもさいかいのしし、かさいのどれかにまきこまれてしまいます。

 さいあくのさいか。まさにだいさっかい。さいしょのおつかいばんぐみしじょう、さいだいのぴんち!


「うわーん、どないしょー!」


 とうとういちかさんもなきだしてしまいました。

 だっていちかさんはまださんさいです。


 と、そこへさっそうととびこむなぞのひとかげ!


「はっはっは、またおうたな、おじょうちゃん!」

「あ、あんたはさすらいのさいきっかー、ききかいかいさんかいな!」

「おれがきたさかいもうあんしんや! うおおお、さいきっくかーりんぐ!」


 ききかいかいさんがきあいをいれると、さいきっくぱわーでしゅういがこおりのせかいにつつまれます。

 さいもいのししもすべってころび、かさいもちんか。

 さいこうのさいきっかー、ききかいかい! いちぶではざいかいのかんけいしゃともうわさされています。


「おおきに、さすらいのさいきっかーききかいかいさん!」

「かまへんよ! さかいしかいわいのへいわをまもるのがさいきっかーききかいかいのやくめやさかいな! ほなまた!」


 ききかいかいさんはそういいのこすと、またすがたをけしてしまいました。

 ぶじでよかったね、いちかさん。


 けいさつのげんばけんしょうもはいるので、これいじょうのさつえいけいぞくはふかのう。

 ばんぐみようのえいぞうをしょうことしてていきょうし、すたっふもくわしいじょうきょうなどをきかれました。

 だからここからさきのえいぞうはのこっていません。


 いちかさんはおかあさんのさいかさんにれんらくしてきてもらい、さいしょのおつかいはここでおしまい。

 ちょっとしっぱいしちゃったけど、がんばったね、いちかさん。おつかれさま。

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