テスト後にて
試験の日。
俺は緊張した面持ちで机に向かい、テスト前最後の復習をしていた。今回は七海と一緒に登校せず、それぞれ別々で登校している。少し早く学校に来すぎたため、まだ七海は教室にいない。
暫く勉強していると、ちらほらと教室に人が入ってくるようになった。
すると、
「よう!テスト勉強の調子はどうよ?」
翔太が登校してきた。
「まぁ、ぼちぼちかな。土日にしっかり勉強したし」
「そういや、今日はあの人と一緒にいないのか?珍しい」
「色々あってね」
「喧嘩したのか?」
「いや、そういうのじゃないから大丈夫だ」
「それなら良かった」
翔太とそんな会話していると、七海が教室に入ってきた。
七海は入ってくるとすぐに俺を見つけ、目が合う。七海は目が合うとすぐに俺から目を逸らした。そして自分の席に座り、勉強を始めた。
「あれ、大丈夫なのか?」
「あー、あれはきっと俺と会うとテスト前の勉強に集中できなくなるからじゃないか?」
「そんなかとあるのか?」
「それが、あるんだよ…」
そう言って俺は遠い目をすると、翔太もこれ以上聞いてこなかった。
その後、教室に先生が入ってきてすぐにテストが始まった。
「まぁ、補習とかにならないようにお互い頑張ろうぜ!」
「おう」
その後、俺たちはテストと戦った。あっという間に時は過ぎ、遂にテストが終わった。
「終わったーー!」
「おつかれ」
そうやって、翔太とテストが終わったことを喜び合っていると、
「ねぇ…、あきと…」
七海がきた。しかし、その顔は少し俯いていた。
俺は、
「わかった。帰ろっか」
「うん…」
「じゃあまたな」
「お、おう。またな」
翔太と挨拶して、帰る支度を済ませる。翔太はこの俺たちの様子に少し戸惑いながらも挨拶を返してくれた。そして、俺たちは家に向かって歩き出すのだが、お互いの距離は少し開き、終始無言であった。
家に帰り玄関を閉めると、すぐにひしっと七海が後ろから抱きついてくる。七海は少し拗ねているように、
「寂しかった…」
そう呟いた。
俺はそれを聞き自分の腹に回っている七海の手を剥がし、後ろを向いて正面で七海と向き合う。
「俺もめっちゃ寂しかった」
そう言って、七海を正面から抱きしめた。
何分、何十分だろうか、暫くの間玄関ということすらも忘れて俺たちは抱き合っていた。そのまま、どちらからということもなく顔を近づけて、お互いの唇をお互いの唇におとした。そうして俺たちは互いにテスト勉強での寂しさを埋めあったのだった。
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